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不耕起・有機で栽培した大麦でクラフトビール製造へ 浦幌 リッカ

浦幌産大麦でクラフトビール造りに取り組んでいる鈴木代表と菅野副代表(右から)

 【浦幌】合同会社「RIKKA(リッカ)」(本社札幌市、鈴木將之代表)は、不耕起で有機栽培した大麦を使ったクラフトビールの醸造を目指している。浦幌町内に大麦栽培に関する作業施設を設け、醸造施設の整備も進めている。来年中には同施設で製造した浦幌町産大麦などを使ったビールが完成する見通し。(吉良敦)

 同社は7月下旬、町の旧農業技術拠点施設(帯富215)の土地・建物を5年間無償で町から借り受け、試験栽培や収穫・脱穀作業などを行っている。町市街地の金物店跡地(寿町4)の一部を醸造所とするため、近く精麦機を導入する。年内にも酒類製造免許の取得を申請する予定。

 静岡県出身で札幌市内の会社に勤務する鈴木代表(54)=札幌市在住=は、地球温暖化などに関心を持ち、ビール造りを通じて環境問題に取り組もうと決意。2019年、不耕起、有機による大麦栽培を道内数カ所の畑で始めた。

今年収穫した大麦「北大1号」を確かめる鈴木代表

 収穫量は1年目10キロ、2年目30キロ、3年目200キロと増えたが、4年目は30キロなど、試行錯誤を繰り返してきた。5年目の今年は協力農家(幕別)の畑で1・5トンを収穫し、原料を確保した。

 畝の幅を狭めたり、いろいろな品種を試したりしてきた。「不耕起、有機栽培は昔の大麦の方が合うのでは」(鈴木代表)と古い品種を探したところ、1917(大正6)年に人工交配で生まれた国内最初のビール用大麦「北大1号」にたどり着き、保管している北大に相談して10グラム(200粒)を入手。今年、町内で栽培し、139グラムを収穫した。来年以降も、北大と共同で研究を続けていく考え。

 仙台市内のオーガニックレストランで勤務しながらイベント企画なども手掛けていた菅野小織副代表(48)=仙台市出身=は、転勤で2008~13年の間仙台にいた鈴木代表と知り合った。胆振管内豊浦町の地域おこし協力隊を務めていた18年、札幌で再会し、ビール製造で意気投合。21年5月に2人でリッカを設立した。菅野副代表は昨年10月末から娘と浦幌で暮らしている。

 会社名RIKKAは雪の結晶「六花」のこと。鈴木代表は「結晶には核になるものが必要。そういう会社となり、地域や人がつながっていけたら、との思いで名付けた」という。

 十勝でも協力農家が出てきているとし、「すぐには不耕起、有機栽培とはいかないかもしれないが、将来的にはそういう形で栽培した大麦でビールを造りたい」と鈴木代表は話している。

 大麦の栽培やビール製造に興味のある人は同社(090・7818・2585)へ。

関連写真

  • 浦幌産大麦でクラフトビール造りに取り組んでいる鈴木代表と菅野副代表(右から)

    浦幌産大麦でクラフトビール造りに取り組んでいる鈴木代表と菅野副代表(右から)

  • 実を取り除いた後の大麦「北大1号」

    実を取り除いた後の大麦「北大1号」

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