広尾出身の辻さん「東京写真月間」に 豊かな自然を表現
【東京】広尾町出身の写真家辻博希さん(53)の作品が、「東京写真月間2023」の国内企画展に選ばれ、都内で展示されている。シマフクロウが暮らす森に焦点を当て、豊かな自然環境の重要性を表現した。(池谷智仁)
東京写真月間は、写真文化の普及・発展を目的に日本写真協会などが主催している。国内企画展は「SDGs『環境』」をテーマに写真家から作品を募り、辻さんを含め7人が選ばれた。作家ごとに都内で順次、作品を展示しており、辻さんの写真展はニコンプラザ東京(新宿)で6月5日まで開かれている。
辻さんは、ブライダル写真を手掛けるブライダル・ココ(帯広)を経営している。「カムイの住む森」と題し、日高山脈に広がる森で撮影した野生生物や自然風景など22点を展示。絶滅危惧種のシマフクロウが魚を捕らえるため翼を広げて川に飛び込む瞬間や、力強く正面を見詰める写真が目を引く。
遡上(そじょう)するサケやカラフトマス、水中で重なるエゾアカガエルの写真からは、澄んだ川が命を育む様子が伝わってくる。横たわるエゾシカの頭蓋骨を囲むように咲く花々の写真は、自然の循環を感じさせる。
辻さんは「シマフクロウが住む森は、川を通じて海とつながり、豊かな自然が残っていることを表現したかった。貴重な森やシマフクロウを守っていくには、多くの人に知ってもらうことが大事」と話した。
辻さんらの写真は、巡回展として11月7~23日、上川管内東川町の東川町文化ギャラリーでも展示される予定。