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27歳の郵便局長が誕生、米国人の夫もサポート 上足寄簡易局が2年ぶり再開

「地域の期待に応えたい」と話す神田局長(右)と夫のコナーさん

 【足寄】足寄の市街地から車で約30分の上足寄簡易郵便局(足寄町上足寄本町)に個性豊かな女性局長が誕生する。上士幌町出身で、東京で翻訳などの仕事をしていた神田万葉(まは)さん(27)が足寄に移住。20日に営業を始める。同郵便局は2021年3月に休止しており、2年ぶりの再開。地域住民は貯金を下ろしたり郵便物を送ったりする際、約10キロ離れた螺湾地区の郵便局まで足を運ばなければならなかったため、期待も大きい。神田さんは「地域の方から歓迎されていると感じられてうれしい。ニーズに合わせた郵便局になれば。期待に応えたい」と意気込む。夫で米国人のミケリゴット・ライリー・コナーさん(28)は補助者として、神田さんの休日や業務多忙の際にサポートする。(北雅貴)

 神田さんは上士幌萩ケ岡小、上士幌中、帯広柏葉高を経て北星学園大(札幌)の英文学科へ。英語が好きなこともあり大学卒業後に東京の翻訳の専門学校へ。19年に翻訳の個人事務所を都内に構えた。

 カリフォルニア州出身のコナーさんとは大学生の頃に知り合い、18年に結婚。2人で本の翻訳や、海外の映画祭に出品する映像やユーチューブ番組、企業の資料などに英語の字幕を付ける仕事をしてきた。最近は日本人イラストレーターが作った絵を多く取り入れた本「オノマトペフレンズ」を英訳している。

 転機は21年春。萩ケ岡で簡易郵便局を営む父の到さんから、上足寄簡易郵便局が受託者を募集していると聞いた。仕事内容になじみもあり、上士幌から離れてはいるが「いずれは故郷の十勝に」との思いから関心を深めた。足寄町内の湖、オンネトーの美しさにも心が引かれた。日本郵便北海道支社(札幌)から資料を取り寄せ、面接を受けた。父から1週間、カリキュラムに沿って厳しい研修も受けた。

 上足寄簡易郵便局は、道の駅あしょろ銀河ホール21から約25キロ、阿寒湖温泉までは30キロほど。生活への不安もあるが、13日に地域の約20世帯を回って会話するうちに「地域に貢献したい気持ちがより強くなった」と気を引き締める。

 取り扱い業務は「郵便・荷物」「貯金」「保険」「物販」の4サービス。郵便・物販の営業時間は平日の午前9時~午後5時(貯金と保険は同4時まで)。住民の利便性を考え、いずれは食品や日用品も扱う商店を開くことも視野に入れる。コナーさんも日本語で「2年間の準備がいよいよ形になる。コンビニに頼っていたが、料理を頑張りたい」と笑顔で話す。二人三脚で地域のために汗を流す。郵便局の業務時間外は、翻訳の仕事も続ける予定だ。

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