打楽器奏者の野田さんが英語教室「世界に出て自分を伝えて」
帯広を拠点に活動する打楽器奏者の野田美佳さん(54)が4月、市岩内町東2線の自宅で英語教室を開校する。音楽を通して道を切り開き、欧州や米国の地も踏んできた野田さんは、子どもたちには語学を武器に世界へ羽ばたいてほしいと願う。「ありのままの自分がなりたい自分になっていくことを応援し、楽しく生きていける人を育てたい」と目を輝かせる。
野田さんは静岡市生まれ。中学、高校は吹奏楽部に所属し、国立音楽大で打楽器を専攻した。在学中に音楽療法を学びたいとの思いが膨らみ、大学院を受験したが、合格には至らなかった。それでも演奏の仕事に就けると思っていたが、当時はバブルがはじけた直後。現実は厳しかった。
そんな中、ドイツのミュンヘン国際音楽コンクールを知り、興味本位で応募。渡航費用を工面するためアルバイトを重ね、ニンジン1袋で1週間過ごしたことも。世界から集まった40人が技術を競う場で、「まさか通るとは思っていなかった」1次予選を通過。10人に絞られた2次予選は通過できなかったが、外国で勉強したいという気持ちが一気に高まった。
公演などで再び資金をため、カリフォルニア芸術大の大学院に進学。現代音楽から民族音楽まで幅広く学び、充実した日々を過ごした。帰国後は、留学前から交際していた音楽家で、現在の夫のクニ河内さんと共に十勝へ渡った。移り住んだ清水町での7年間で実際に過ごしたのは3年ほどというくらい、公演のため2人で全国を飛び回った。
その後、1年弱のカナダ暮らしを経て、帯広に移り住んで約20年。演奏活動と併せて、自宅で音楽教室を営んできた。そんな中でコロナ禍に見舞われ、音楽の仕事が突然なくなった。
そこで何ができるか考えたときに思い至ったのが、音楽教室で心掛けてきた「子どもたちが持っているものを引き出す」こと。それは音楽でなくてもできるかもしれない。海外で学んだ経験も生かせるとしたら英語だ。そう考え、小学生に英語を指導できる資格を取得。英語教室を運営するベネッセの理念に共感し、「ベネッセビースタジオ」の教室として開校する。
「不器用でよく考えない性格」の自分が、思い切りの良さで国内にとどまらない人生を謳歌(おうか)してきたように、子どもたちも臆することなく世界に目を向けてもらいたいと願う。「農業や宇宙産業などがある十勝は世界的にみても大事な場所。そういう所で成長して、世界に出ても自分たちのことを伝えていける人が育ったら」と思い描く。
対象は幼児から小学生まで。体験を受け付けている。問い合わせは野田さん(090・7649・5639)へ。(高井翔太)