「十勝でライブを」 帯広出身菅野さん、バンド「ブレイメン」でドラム担当
帯広市出身の菅野颯さん(24)は、5人組ミクスチャーファンクバンド「BREIMEN(ブレイメン)」のドラムとして活躍している。アーティストのサポート活動も行う菅野さんは「自分が楽しいと思える仕事を続けていきたい。十勝でライブを行い、十勝の人のリアクションを見てみたい」と話す。
中学で「はまった」
帯広稲田小、帯広南町中、帯広南商業高、尚美ミュージックカレッジ専門学校卒。ドラムとの出合いは、友人に誘われて入部した中学の吹奏楽部で、パーカッションを担当したのがきっかけだった。同時に、帯広市内のミュージシャンズワークショップ「シェイク」の個人教室でドラムを習い始めた。「職人気質があると思っていたので、技術を高めて上達するのが面白いと感じ、ドラムにはまった」と振り返る。
高校時代は音楽漬けの日々を過ごし、学外の友人とアニソンやロックなどのバンド活動を展開。ライブハウスで知り合った年上のミュージシャンに声を掛けられサポートでバックバンドに参加、シェイクでのアルバイトを通して楽器の知識を深めた。
海外で活躍するヒップホップやR&Bのサポートミュージシャンに憧れ、ブラックミュージックを極めたいと、東京の専門学校に進学。ジャズ科で学び、即興の演奏力を磨いた。
ミュージシャン同士のつながりなどでサポートの仕事は増えていったが、「自分の表現もやりたいことに気づいた」。そう考えていたときに旧体制のブレイメンと知り合い、ドラムが脱退するタイミングでバンドに誘われた。バンド活動は想定していなかったので迷いもあったが、「ブレイメンは好きなバンドで、単純にうれしかった。面白い経験になると考えた」と、2018年に加入した。
ブレイメンは、常軌を逸した演奏とジャンルにとらわれないスタイルで注目を集めている。「ブラックミュージックやファンクなど、いろいろな要素がミックスされている。即興演奏を重視しているのがこだわり。自分たちが出す音だけでライブを行うためアレンジの即興が可能で、他のバンドにはできない要素」と話す。
今月20日にはサードアルバム「FICTION(フィクション)」(SPACE SHOWER MUSIC、3300円)を発表した。「アレンジが難解で驚かされると思うが、何回も聴いて音の面白さや良さを味わってほしい。歌詞の表現が素晴らしく、文脈を読み取りつつ聴いてほしい」とする。
収録曲「チャプター」は、ミュージシャンの生々しいタイム感を表現するため、わざとテンポを遅らせたアレンジを実施。「綺麗事(きれいごと)」はチューニングをずらした部分を盛り込むなど独自の音楽を表現した。
サポート活動も継続
バンド活動と並行し、「KIRINJI」「eill」などのアーティストのサポート活動も行う。「バンドでは自分のやりたい表現ができ、やりたいジャンルのサポートができている。相乗効果があり、どちらの活動も自分には欠かせない」と語る。今後は音楽全般に活動の幅を広げ、作曲などに挑戦する考え。
十勝で演奏活動に取り組む若者に対し、「十勝は音楽に打ち込める練習環境がある。面白いと思ったことに飛び込んでみると、面白い人生になる」と助言する。(池谷智仁)