伝統の瓜幕ばん馬が1世紀の歴史に幕 16日に最後の大会
【鹿追】伝統の瓜幕地区の鹿追町競ばん馬競技大会(町競馬会主催)が、60回目の今年の大会で100年近い歴史に幕を閉じ、十勝から草ばん馬競馬が姿を消す。主催者の高齢化や町内に馬主がいないことなどが理由。最後の大会は16日午前9時から、町ライディングパーク(町瓜幕西3)で開かれる。
「鹿追町七〇年史」によると、瓜幕地区の競馬大会は1928(昭和3)年ごろ旧市街で行われていた。30年に現在の瓜幕市街地が形成されると、競馬場も新市街地に移った。59年には町制施行記念行事として盛大に開催された。
第52回大会までは「瓜幕競馬会」が主催していたが、会員の高齢化で解散。それまで参加していた馬主やファンから存続を求める声があり、地域住民や旧競馬会の有志らで、2014年に鹿追町競馬会を設立して大会を継続してきた。
ただ、町内にばん馬の馬主がいなくなり、出場するのはすべて帯広競馬場所属の馬で、ポニーばん馬など他種目への参加もすべて町外からとなっていた。以前から60回目を最後にすることは決まっており、コロナ禍での中止を経て今年が最後となる。
町の後援で「第1回大会」と銘打って開催された61年当時から、大会役員として携わっている瓜幕在住の新田公男さん(89)によると、当時は全道から馬が集まり2日間かけて開かれた。町外から参加する人は餌と寝具を積んだ馬車で寝泊まりしながらレースに臨んだ。競馬場は現在と同じ場所で、U字形のコースの回りは2000~3000人の見物客で埋まり、焼き物のたたき売りなど多くの店も出てにぎわった。新田さんは「馬に頼り、助けられて今の農業があると思うと、大会が終わるのは仕方がないが、さみしい気持ちもある」と話している。
今年の大会は、帯広競馬場所属のばん馬16頭が出場する一般ばん馬重量レースの他、ポニーばん馬、1人乗りの二輪馬車で競走するけい駕(が)レースなどが行われる。問い合わせは町瓜幕支所(0156・67・2111)へ。(平田幸嗣)