道の駅の初代“店長”にマレーシア人のハニフさん 浦幌
【浦幌】道の駅うらほろ(浦幌町北町16、国道38号沿い)に4月から、マレーシア人のイザハ・ハニフさん(28)が「店長」として勤務している。指定管理者の道の駅うらほろ直売会によると、2009年の開業以来、店長という役職名の正社員は第1号。前職の経験を生かしたPOP作りやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による発信に力を入れるなど、道の駅の盛り上げに奮闘している。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」-。身長176センチのすらっとした立ち姿で、手際良くレジ打ちをこなす。流ちょうに日本語を話す姿を見た来店客から「日本語上手だね。頑張って」「兄ちゃん、どこの国だい」と声を掛けられることも。道の駅のスタッフからも「仕事を覚えるのが早く心強い」と一目置かれている。
ハニフさんは、3月末に町地域おこし協力隊を卒業した芸術家の鹿戸麻衣子さん(37)の夫。マレーシアの日本語学校の教師になることを夢見て、13年に留学生として来日した。14年から4年間は麗澤大学(千葉県)で日本語の勉強に励み、卒業後は社会経験を積もうと東京都内のサクラホテルに就職。そこで職場が同じ鹿戸さんに出会った。
2月に同ホテルを退職し、浦幌に移り住んだのは3月中旬。道の駅が事務スタッフの後任を探している話を聞いて面接を受けたところ、将来の運営を担う有望株として店長に抜てきされた。
働き始めた当初は「お客さまに『インカのめざめをください』と言われた時は何のことかさっぱりでした」と野菜の品目を覚えることに苦労し、聞き慣れない北海道弁に戸惑いを感じることも。約3カ月たった今でもソフトクリームの巻き方はうまくいかずに苦戦中だ。
それでも、前職時代に経験したパソコンを使った会計処理や目を引くPOP作成といった作業はお手の物。6月にはインスタグラムの公式アカウントを開設し、動画配信に力を入れて集客につなげている。
母国語のマレー語に加え、英語と日本語の3言語を話せることを生かし、コロナ収束後に来訪が期待される外国人観光客のおもてなしも念頭に「外国人が一目で分かるようなPOPを作りたい」と意気込んでいる。(小縣大輝)