十勝文化賞に鳥井さん「創作活動は生きがい」 奨励賞は劇団パズル
NPO十勝文化会議(林光繁理事長)は17日、「第35回十勝文化賞」の受賞者を発表した。十勝文化賞は、帯広市民文芸編集委員などを務めた鳥井綾子さん(76)=芽室町=、十勝文化奨励賞は親と子のミュージカル「劇団パズル」が選ばれた。十勝文化特別賞は該当者がなかった。
鳥井さんは大樹町出身。幼少期から作文、読書感想文を得意とし、札幌市を拠点とした「黎文学会」に25年間所属。農村や地域をテーマとする作品が多く、これまでに日本農民文学賞、帯広市民文芸賞などを受賞している。
授賞式は26日午後1時半から、帯広市内の北海道ホテルで開かれる。(牧内奏)
文化賞・鳥井綾子さん(76)
「家族の理解があってここまで続けられた」と周りに感謝する。
大樹町出身。読書家の母の影響で自身も“本の虫”に。幼少期から作文や読書感想文を得意とし、大樹高校在学中に文芸部を立ち上げて小説を書き始めた。
卒業後は児童文学誌「繭」同人の後、札幌市を拠点とした詩と創作の会「黎文学会」に1978年から25年間所属。
78年に小説で帯広市民文芸賞、2005年からは「地上文学賞」(家の光協会)の佳作賞をたびたび受賞している。
大樹町内で商店を切り盛りし、2人の子を育てながら夜な夜な書いた時期もあった。創作は「自分のためにやってきただけ」と言い、今回の受賞を少し戸惑いつつも「子どもたちが『(執筆に励む)お母さんの後ろ姿を見てきた。努力してるのを知っているよ』と言ってくれるのはうれしい」とほほ笑む。
約10年前から短歌結社「樹樹社」に所属しているほか、芽室町民文芸の編集委員や十勝毎日新聞社の文芸公募「郷土作家アンソロジー」で選考委員を務める。今後は老いをテーマにした作品に取り組むつもりで、「創作活動は今では体の一部。生きがいになっている」と話した。
奨励賞・劇団パズル
親と子のミュージカル「劇団パズル」は、今年で活動20周年を迎える。親の会代表の山田圭介さんは「今までの積み重ねが認められてうれしい」と喜ぶ。
帯広西親子劇場の子どもたちを中心にミュージカル専門の劇団として2002年に結成。旗揚げ慰問公演「夢から覚めた夢」からほぼ毎年公演を行ってきた。現在は、十勝管内の小学生から大人まで団員23人が在籍。OB・OGら約20人が運営をサポートする。
コロナ禍ではマスクを着けて、練習時間をずらすなど工夫しながら打ち込んできた。
4月2、3日には帯広市民文化ホールで創立20周年記念公演「風の丘のルルー」を開催する。山田さんは「歴史を絶やすことがないよう、これからも活動を続けていきたい」と意気込みを語った。