ジェンダーレス制服普及の動き 男女間お下がりもOK
性の多様性に配慮し、十勝管内の中学校でもジェンダーレス制服導入の動きが広がりつつある。帯広翔陽中学校(海鋒達也校長)は新年度の入学生から男女ともブレザータイプの制服に統一。ブレザーの前ボタンはワンタッチで付け替えられ、男女間の“お下がり”にも対応する。音更町も2024年度から町内全5校でジェンダーレス制服を導入する。
翔陽中では多様な価値観を認め合うことができる学校教育を目指し、今年度から男女混合名簿や女子のスラックスを採用。現在の制服は男子が詰め襟、女子がブレザータイプだが、新入生からはジェンダーレスのブレザーとする。
制服の更新を前に、昨年の夏には同校に進学する市内4小学校(帯広、光南、東、柏)の児童や保護者にアンケートを実施。児童の8割、保護者の7割が詰め襟よりもブレザータイプを望んだ。
新しい制服は前ボタンをワンタッチで付け替えることで右前合わせ、左前合わせを調整できる。素材にこだわった上着は着心地に優れ、調温・調湿機能や消臭効果も備える。上着の袖は成長に合わせて3センチ伸ばせるほか、両袖の横には反射パイピングが入り、交通安全にも貢献する。自宅での洗濯も可。価格は上下で約3万4000円で、現行の女子の制服よりも9000円ほど安い。
佐藤和人教頭は「ジェンダーへの配慮、機能性、経済面を含め、これからの時代にふさわしい制服」と太鼓判を押す。
市内の中学校は、男子が詰め襟(第四中のみブレザー)、女子はイートン、ブレザー、セーラー服などを採用している。翔陽中の新制服も含め、各校とも下衣はスラックスかスカートを選べる。
翔陽中の制服を手掛けた北海道管公学生服(札幌)は「LGBTや多様性という言葉が浸透し、この3、4年で制服にも急激なジェンダーレスの波が来ている」とし、今後も需要は高まりそうだ。(澤村真理子)