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絶えぬ特殊詐欺被害、対策に課題 手口知ることも重要

道警が昨年、コンビニに配布した特殊詐欺被害を防止する声かけシート

 特殊詐欺事件が後を絶たない。十勝でも高齢者だけでなく、若い世代も巧妙な手口でだまされる被害が相次ぎ、警察や関係者が注意喚起している。(石川彩乃)

 今年1月、帯広市内の80代女性が架空請求詐欺で、約5000万円をだまし取られていたことが判明した。「防犯協会」などを名乗る男らから次々と、「個人情報が流失している」「逮捕される」などと電話があり、逮捕を免れる費用として支払ったという。

 こうしたストーリー性のある手口は「劇場型詐欺」と呼ばれる。帯広署は「立場の違う複数人が電話をかけてくるため信頼してしまうのでは」と分析する。同署管内では昨年、6件計4240万円の被害届を受理。被害の最高額は約4080万円で、やはり「防犯協会」などを名乗る男らによる「劇場型」だった。

 介護保険料などの払い戻し名目でだます「還付金詐欺」も今年、同署や広尾署管内で発生している。帯広署によると、犯人は「あなたの口座にお金が振り込まれますから、振り込みボタンを押して」などと言葉巧みに誘導。指示に従っているうちに、被害者自ら振り込んでしまうという。

 また、帯広市内では2月、20代男性がアプリ利用料金などの名目で約160万円をだまし取られた。いずれも共通するのは電話で現金などを要求している点だ。同署生活安全課の瀧谷研課長は「そもそも電話でお金の話が出てくるのはおかしい。支払わずに警察や周りの人に相談を」と呼び掛ける。

金融機関も防止に努力
 金融機関なども詐欺被害防止に力を入れる。同署管内では昨年、銀行や郵便局、コンビニの従業員ら少なくとも19人が被害を防いだ。現金自動預払機(ATM)で被害者が電話を片手に慌てている様子や、怪しい振込先などに気づき、声をかけて防止につなげた。

 一方で、店側が気づかない例もある。今年1月、同署管内の男性が高額の電子マネー購入のために訪れたコンビニでは、対応した従業員が用途などを確認せず、結果的に12万円をだまし取られた。店員の一人は「使用方法を聞くと『あなたには関係ない』と怒られることもある」と漏らす。同店オーナーは「どんな立場でも積極的に声をかけられるような組織作りが必要」と振り返る。

 別のコンビニは独自の「声かけシート」を作成。この店の店長は「マニュアル通りに対応ができ、店員の負担も少ない」と話す。道警も昨年12月、声かけシートを配り、管内を含む全道のコンビニに配布した。

 郵便局や宅配業者は荷物の中に現金が入っていないか声をかけるが、中身を直接確認することはできない。「防犯協会」を名乗る詐欺グループの手口でも宅配便が使われた。市内で郵便局長を務める岸本孝行さんは、「依頼主と宛名の関係が不審だったり、送り先が怪しい住所だった場合は詐欺被害に気づくポイントになる」と話す。

 同署は「自分は大丈夫と思わず、日ごろから詐欺の手口に理解を深めることも重要」とし、金融機関などにも「怪しいと気づいたら声をかけて、すぐ警察に通報を」と訴えている。

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