リベンジ消費の兆し 売れる高級車、宝石… コロナ我慢はじけ
新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことなどから、長く制限されてきた消費行動が一気に広がる「リベンジ消費」が、今年に入り、全国で注目。十勝でも高級車や絵画、宝飾品など一部で兆しが見られる。管内金融機関には、積み上がったままの個人預金などがかなりある状況とされており、関係者からはアフターコロナに向け、広範囲での本格的な消費回復へ期待の声が出ている。
積もる貯金も背に
レクサス帯広(音更町)では9月の販売台数が前年比約3倍。今月7日に発売する新型車も大きく影響するが、種村修司ゼネラルマネージャーは「コロナでいろいろ我慢している人が多い。食事や旅行に行けるようになり、物にお金を使うようになっている」とする。
ベンツを扱う東北海道ヤナセ(帯広)では、受注は前年並みだが、グレードがより高い車種が売れる傾向にあり、売り上げは前年を超える状況。石原英樹社長も「来店者は昨年よりも多い」としている。帯広自動車販売店協会によると、半導体不足によるメーカー側の生産減や納車遅れが続いているものの、消費マインドの落ち込みは今年に入り回復してきたとする。
百貨店・藤丸でも外商や上位客を対象に宝飾品などを販売する、9月の「逸品会」の売り上げ実績は前年比56%増。1枚数十万円の絵画や、100万円台の時計やネックレスが複数点売れた。竹成仁史営業部長は「全体の売り上げは前年割れが続くが、高級品中心に消費が伸びている実感がある」と説明。12月には宝石フェアを企画、「感染が再拡大しなければ、売り上げ増を期待できる」と話した。
北海道ホテルでは、コロナ禍で露天風呂付き客室や、サウナ付き客室の人気が高い。温泉付きの部屋の稼働率(今年8月)は通常の部屋に比べ20ポイント以上も高く、満室に近い状態が続く。山崎隆弘部長は「個室は料金は高いが感染対策にもなる」と説明、安心感の高いサービスにはお金をかける傾向も見え隠れする。
帯広財務事務所によると、十勝管内の銀行・信金・信組の預金残高は前年比7・4%増の1兆6621億500万円(7月末)。帯広商工会議所の高橋克弘副会頭(十勝信用組合理事長)は「事業者が受けたコロナ融資の保管分が大きい」としつつも「行動が制限される中、基幹産業の農業が安定する十勝では個人の預貯金も確実に増えている」と分析。「ワクチン接種の拡大で安全が担保されると、飲食や旅行などにも消費が広がり、地域経済全体の底上げになる」と期待を寄せている。
(佐藤いづみ、津田恭平、大海雪乃)
抑えられた消費欲求が一気に出る現象。造語。最近、アフターコロナを見据えた経済関連の話題で取り上げられることが増えている。