希少種群生地に車進入 「ハマハナヤスリ」 豊北海岸、複数が枯死
【浦幌・豊頃】浦幌、豊頃両町にまたがる豊北海岸で今月、北海道レッドデータブックで「準絶滅危惧種」に指定されている植物「ハマハナヤスリ」が、車の乗り入れによって踏み荒らされた状態で見つかった。海岸を管理する帯広開発建設部池田河川事務所が柵を設置し、一般車両の進入禁止を呼び掛けている。
浦幌町立博物館によると、ハマハナヤスリは海岸の草地に生える小さなシダ植物。豊北海岸内では、2017年ごろに自生していることが確認された。自生する場所で大きさは異なっており、この場所でのハマハナヤスリの葉の長さは2~15センチ程度。
同博物館が4日に月例調査観察会を行った際、車両のわだちを発見。調査したところ、自生する70~80個体のうち、5個体は根元から折れて枯れてしまうなど、延べ18個体が被害を受けていた。
20日には同河川事務所の協力の下で、希少植物の植生保護と、同じ経路を繰り返し入らないよう、出入り口3カ所に柵を設置した。
現地は浜沿いに位置し、8月末から秋サケの釣り客が多く見られることもあり、一般車両が乗り入れた可能性が高いという。また、踏み荒らされた影響によって裸地ができ、そこに外来植物が侵入し、植生の変化につながる恐れがある。同博物館の持田誠学芸員は「車で通行する際は既存の通路以外に入らないようにしてほしい」と呼び掛けている。(小縣大輝)