帯広出身のオリンピアン桧野真奈美さん「五輪に恩返し」 アンチ・ドーピングを啓発
【東京】ボブスレー元五輪代表で帯広市出身の桧野真奈美さん(社会医療法人北斗所属)が、東京オリンピック・パラリンピックの運営に携わっている。アンチ・ドーピングの啓発に向け、アジアからの参加選手らに正しい知識を伝えている。新型コロナウイルス感染拡大でオンラインへの切り替えなど予定変更を余儀なくされたが、桧野さんは「アスリートと同じ気持ちで、できる範囲で全力を尽くす」と話す。(池谷智仁)
スポーツ庁と東京2020組織委員会はアンチ・ドーピングの取り組みを進め、桧野さんはアスリートクリエーターとして参画している。
東京大会招致決定後は講演活動を続け、自らの経験からドーピング関連の知識やスポーツの価値などを伝えてきた。大会期間中は選手村近くの拠点で、ドーピングの知識が不十分な国の選手やコーチらを対象に啓蒙(けいもう)活動を行う予定だったが、コロナの影響で活動は対面からオンラインに切り替えた。
日本はアジア全体にアンチ・ドーピングを啓蒙する立場にあるという。桧野さんは、知識不足のためにカフェインが含まれるコーヒーやお茶の摂取でドーピング検査に引っ掛かる可能性があると指摘。その上で、「ドーピング検査は自らの潔白を証明するポジティブなものと伝えている。多くの関係者に知ってほしい」と願う。
桧野さんが東京大会を支えたいと考えたのは、現役時代の経験からだ。ボブスレーW杯にアジアからただ一人出場したが、コーチ不在で困っていると、米国やドイツなど競技先進国が無償で技術を教えてくれた。桧野さんは「アジアのレベルを上げることが、競技発展につながるとの考えがあった。海外でさまざまな人に助けてもらい、五輪に出場できた。選手が最高のパフォーマンスを出せるよう、支える側でお返ししたかった」と思いを語る。
<ドーピングとアンチ・ドーピング>
「ドーピング」は禁止されている薬物や方法で競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為。「アンチ・ドーピング」はドーピング行為に反対し、教育・啓発や検査などでクリーンで公正なスポーツを守るための活動。