83年前の写真帳を発見 兵士と家族写る 大樹の阿部さん
【大樹】町芽武で畜産業を営む阿部徳久さん(58)が自宅内で、大樹から日中戦争に出征した兵士たちとその家族の写真を集めた写真帳を発見した。発行は83年前で「当時の大樹村が作製したのだと思う。大樹に住んでいた人たちの家族写真が数多く載っている貴重な資料なので気になる方は見てほしい」と阿部さん。今月中は町教委に写真帳を貸与し、希望者は閲覧できるようにしている。
阿部さんは7月下旬、自宅の仏壇を整理していた際に写真帳を見つけた。字が薄くなって見えにくいが、表紙には「支那事変聖戦記念 妖雲一掃 大樹村」と書かれているとみられる。縦約7センチ、横約11センチと名刺ほどの大きさで約150ページの冊子。
巻頭には当時の大戸昇六大樹村長による「嗚呼我ガ聖戦」と題した文章があり、巻末に昭和13(1938)年11月1日発行と記されている。
1ページごとに1人の兵士の顔写真とその家族の写真が収められている。家族の中にはスーツやセーラー服などで正装した人たちの姿もあり、当時の服装や雰囲気を知ることができる。
阿部さんの祖父新五郎さん(故人)も出征した一人として顔写真があり、家族写真の中に祖母トキさん(同)らが写っている。阿部さんは「家族写真としては最も古いものの一つ」と話す。
阿部さんは「大樹村が残された家族のために写真帳を作ったと思われ、その点は素晴らしい。一方で戦地に行かなければならなかったことは悲惨なこと。家族写真の重みを感じた」と当時に思いを巡らせている。
閲覧に関する問い合わせは町教委社会教育課(01558・6・2133、町生涯学習センター内)へ。(松村智裕)