老朽化の岩内自然の村、廃止へ 民間への移管を模索
帯広市は29日の市議会経済文教委員会で、老朽化が著しい自然体験施設「岩内自然の村」(岩内町)の運営に関する検討状況を報告した。「一定の役割を果たした」(生涯学習部)とし、廃止する考えを示した。施設は民間に移管する方針で、9月ごろから利活用案を募り、年明けに方向性をまとめる。
同施設は1981年7月にオープン。農業体験実習館「山の家」、管理棟、バンガロー10棟で構成する。近年の利用者はオープン当初の約3万人から約9000人に減少、大半は市外からの利用で、高校生以下の利用は2~3割に落ち込んでいた。
今後も使用を継続するには耐震工事などの大規模改修が必要。全施設を新築する場合の経費は、維持管理費を含めて10年間で約8億5000万円と試算した。市は「これまでと同様に自然体験施設として運営するのは非常に厳しい」(同)と言及。利用団体から存続を望む声はあるが、廃止しても地域に与える影響は限定的とした。
市は9月ごろから11月末にかけて、民間事業者から自然体験施設以外の活用を含むアイデアをホームページ上で募集。貸し付けか売却かは、提案内容を精査する中で判断する。
民間事業者の利活用に至らなかった場合は撤去が基本となる。「ワーケーションの拠点など民間の発想で新たな価値が生み出されることを期待している」(同)としている。(高田晃太郎)