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彫り続けて60年 木彫りのクマ職人、伊藤幹男さんが22日から初個展

腹筋をするクマなど愛らしい木彫り作品と伊藤さん

 【上士幌】小学生の頃から木彫りのクマを彫り、阿寒湖アイヌコタン「熊の家」(釧路市)の専属職人を長く務める上士幌町の伊藤幹男さん(71)が、初の作品展「みきおさんのクマ展」を22日から帯広市内の「廊-KOHBUNDO」(西2南9、六花亭本店3階)で開く。伊藤さんは「最初で最後の個展。見て癒やしを感じてもらえれば」と話している。

 伊藤さんは新得町生まれ。10歳の時に兄が買ってきた木彫りのクマに興味を持ち、家にあった木と彫刻刀でクマを彫り始めた。中学卒業後、上士幌町糠平の木彫り作家に弟子入り。25歳で独立して現在の場所に工房と住居を構え、木彫り職人として熊の家や問屋に作品を卸してきた。

 木彫りのクマは土産品として次第に下火になり、職人仲間も減少。伊藤さん自身、妻と2人の子どもを養うため40歳の頃から林業に従事し、雨の日や冬場など仕事が休みの時に制作していた。

 3年前に体調を崩して仕事を続けられなくなり、木彫りに専念。病気が原因で彫刻刀を握る右手や腕が思うように動かなくなったが、「これ以上できなくなるから、彫りたいクマを彫ろう」と、ひたむきに作品と向き合っている。

 腹筋をしたり、股の下から顔をのぞかせたりとユーモアあふれるクマや、親子のクマなど、愛らしい作品には「見て癒やされるクマにしたい」(伊藤さん)という思いがある。

 伊藤さんの知人で上士幌町内のデザイナー会社ワンズプロダクツの瀬野航さんが「熊の家でしか見ることができないかわいらしい作品と、作者自身を多くの人に知ってもらいたい」と木彫りのクマの写真集出版を提案。6月中の出版に向けて撮影を進める中で作品展開催の話が持ち上がり、有志で集まった5人が実行委員会として準備を進めてきた。

 作品展では約40点を展示し、一部販売もする。伊藤さんは「倒れるまで彫り続けたい」と木彫りへの熱い思いを語り、「コロナには気を付けて見に来てもらいたい」と話す。会期は30日まで。午前10時半~午後6時。水曜定休。新型コロナ対策として混雑時の入場制限などを実施する。(大海雪乃)

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