余剰熱利用マンゴーが好調 鹿追
【鹿追】町のバイオガスプラントで生じる余剰熱を活用したマンゴー栽培が好調だ。収量、品質共に年々向上し、今年度の売り上げは2013年度の事業開始以来初めて、町の補助金を上回った。
町のマンゴー事業は、町と町農村青年会がコンソーシアムを組んで実施。町環境保全センター内のハウスで、冬はバイオガスプラントの余剰熱、夏は雪氷エネルギーを活用し、32本のマンゴーを栽培している。
18年度までは木の生育を優先して実の数を制限していたが、19年度は制限を無くしたことで収量が前年度比4倍の530個と大幅増加。今年度は授粉のタイミングを工夫するなどして750個まで増えた。
温度・湿度管理や剪定(せんてい)方法など試行錯誤を重ね、品質も向上。ノラワークスジャパン(音更)が販売する高級マンゴー「白銀の太陽」の基準をクリアする実が103個、「十勝マンゴー」が251個に上った。その他加工用も含め収入は192万円で、町から受けた団体負担金150万円を上回った。
もともと高齢者や主婦、障害者などの雇用の場の創出や、再生可能エネルギーの利活用による産業振興が目的の事業だが、町から補助金を受けているため、もうけが期待されるようになってきた。また、町民が口にする機会が少なく、町内では必ずしも事業が高く評価されていないのが現状。
事業に関わる人も一時は2人まで減少していたが、昨年からは有償の賛助ボランティアを募り、現在は主婦を中心に6人が協力。ハネ品を活用したスイーツ「パンナコッタ」も開発し、町内の国際交流センター平成館内のカフェで販売するなど、町民還元の機会をつくっている。
また、今年度はふるさと納税に試験出品したところ、1個3万5000円の白銀の太陽2個が即完売したといい、今後は本格的に出品して町への寄付額増加にもつなげたい考え。コンソーシアムの植田憲明代表(31)は「今後も試行錯誤しながら、町民の理解を得ながら事業を進めていきたい」としている。(丹羽恭太)