「トカプチ400」が国のサイクルルート候補に 自転車観光を推進
国土交通省は29日、自転車の走行環境や愛好家の受け入れ環境などに優れたサイクルルートを指定する「ナショナルサイクルルート」に、十勝管内の「トカプチ400」など全国3カ所のルートを候補に選定したと発表した。今後、第三者委員会で審査され、指定されれば道内では初となる。国によりルートが周知される他、走行環境の整備に関し財政支援を受けられる。
ナショナルサイクルルートは、「自転車観光」の推進による新たな観光価値の創造や地方創生を目的に、2019年に事業化。(1)ルート設定(2)走行環境(3)受け入れ環境(4)情報発信(5)取り組み体制-の5項目で一定の水準を満たすと指定される。
第1次ルートは19年11月、「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県、愛媛県)など3ルートが指定された。今回は第2次ルートとしてトカプチ400の他、「太平洋岸自転車道」(千葉県、愛知県、和歌山県など)、「富山湾岸サイクリングコース」(富山県)が候補に選ばれた。
トカプチ400は帯広市を起終点に上士幌町から大樹町までを8の字で結ぶ延長403キロ。「山、平野、海へ。雄大な十勝を感じるサイクリングロード」がキャッチフレーズ。三国峠、十勝平野、太平洋などの景観がセールスポイントとなっている。
十勝では、サイクルツーリズムの推進に向け2015年、「十勝サイクルツーリズム研究会」が発足。17年にトカプチ400のルートを設定した。研究会は19年に「北海道TOKACHIサイクルツーリズムルート協議会」に移行し、国のモデルルートに選定されている。
管内の自治体、自転車・観光団体など約30団体で構成する協議会は自転車の通行位置を示す路面標示や、ルート案内看板の設置など走行環境の整備に取り組んできた。道の駅などにサイクルラック、タイヤの空気入れ、修理工具を設置、レンタサイクル事業も推進している。
国交省自転車活用推進本部は十勝のルートに対し、「五つの要件どれを取っても高いレベルにある」と評価。協議会の爲廣正彦会長(交通環境まちづくりセンター代表理事)は「道内6ルートの中で先駆けて候補になり、有名なルートの仲間入りができる。経済効果はかなり大きい」と話している。
第三者委員会の開催時期は未定。(津田恭平)