元甲子園球児がばんえい騎手デビュー 金田利貴騎手
2015年の夏の甲子園に出場した白樺学園高校野球部の出身で、11月にばんえい競馬の騎手試験に合格した金田利貴騎手(22)が12日、帯広競馬場で行われた同競馬の第2レースでデビューを果たした。初レースは3着と初騎乗・初勝利はならなかったが、8戦目となった翌13日の第9レースで初勝利を挙げた。
金田騎手は1998年帯広市生まれ。ばんえい競馬の金田勇調教師を父に持つ。帯広緑丘小時代に「緑ケ丘キングファイターズ」で野球を始め、帯広第五中を卒業後、白樺学園高校に進学。野球部では、今年のドラフトで千葉ロッテマリーンズに指名されて入団が決まった河村説人投手(星槎道都大4年)らと同学年。捕手として15年夏の甲子園では出場機会こそなかったがベンチ入りを果たし、甲子園の土を踏んだ。
その後、札幌大に進学し野球を続けたが、「もっとばんえい競馬を伝えたい」と大学を中退。18年9月から金田勇厩舎(きゅうしゃ)で厩務員を務め、先の騎手試験で合格、晴れてデビューが決まった。
12日の第2レースでは同厩舎のコマサンミノル(牡2歳)に騎乗。父から「何もできないと思うが、真っすぐ歩かせて帰ってこい」と送り出されたといい、単勝6番人気ながら3着に入る健闘を見せた。
同レースでは高校野球部時代の仲間で同級生の河瀬寛三さん(23)、中村拓也さん(23)、奥山天太さん(23)も観客エリアから声援を送った。金田騎手は「レース中も聞き慣れた仲間の声が分かった。(規則で)リアクションはできなかったが、涙が出そうになるくらい、うれしかった」と振り返った。
12日は4レースに騎乗したが勝利はかなわず、翌13日の第9レースで単勝5番人気のフォルテシモ(牝3歳、坂本東一厩舎)に騎乗。先頭で積極的にレースを進め、大きなリードを持って第2障害をクリアすると、後続を振り切って初勝利を飾った。金田騎手は「昨日から騎乗して1着が遠くに見えていた。1勝できてほっとしている」と胸をなで下ろした。
「父からは『良い馬は良い騎手に回る』と言われている。一番大きなレースのばんえい記念で人気馬に乗り、勝利したい」と将来の目標を語る金田騎手。仲間たちも「将来は(中央競馬の)武豊騎手のような大騎手になってほしい」(河瀬さん)と同級生にエールを送った。(大谷健人)