夏の成人式、参加者の服装「悩む」 帯広市の8月延期 振り袖は暑さ心配
新型コロナウイルスの感染拡大で、来年1月から8月に開催延期が決まった帯広市の成人式。女性にとって華やかな振り袖姿で祝う一生に一度の舞台だが、初めてとみられる夏開催に向けて服装が悩みの種となりそうだ。今のところレンタル予約をキャンセルする動きはないが、新成人からは「振り袖は着たいけど暑さが心配」と悩ましい声が聞こえる。(高田晃太郎、本田龍之介)
「着る機会が限られた振り袖は、自分が主役になれる特別な衣装」。帯広出身で上智大2年の中田もえさん(20)はそう話す。当初は母の振り袖を借りて参加する予定だった。会場の帯広市民文化ホールは冷房完備だが、「屋内は快適でも、(友人と記念写真などを撮る)外の暑さが心配。今は振り袖を着たいと思っているが、ドレスで参加するかもしれない」と悩む。
この春、振り袖をレンタル予約した帯広コア専門学校生の後藤紗羅さん(19)は「キャンセルは考えていないけれど、友達の間では暑さが話題になっている」。東京都立大2年の真山結香子さん(20)は「せっかく親に買ってもらったので着ていくつもり。十分な水分補給と、冷却シートを貼るなどの暑さ対策をしっかりする」と話す。
この3人は共通して「振り袖を着たいが、仲の良い友人や周りの動きに合わせたい」と口にした。
一方、道内では、以前からお盆に合わせて成人式を開いている自治体もある。帰省に合わせて参加しやすいことに加え、冬は吹雪などで交通障害の恐れがあることが理由だ。道教委によると、今年は後志、渡島、桧山管内の計10町が8月に開催した。そのうち後志管内蘭越町は「男性はスーツ、女性はワンピースかパーティードレス。振り袖の参加者はいなかった」(生涯学習課)という。
帯広市もお盆に開催する方向で検討中だ。旭川市や小樽市は5月の大型連休中への延期を決めたが、帯広市は「8月の方が参加者が集まりやすく、ワクチン接種が進んでいると想定して決めた」(生涯学習文化課)という。服装については「適宜判断してもらいたい」(同課)としている。
新成人からは暑さを心配する声が上がっているものの、振り袖の販売レンタルを手掛ける市内の呉服店などでは、キャンセルの動きは出ていない。花いち都屋帯広店の谷平英俊店長は「着付けの部屋や会場は冷房を効かせられるはずなので、暑さは問題ないのでは」との見方を示す。京屋呉服店の宮本征和社長は「暑いから着ないのはもったいないと感じる。店としては一生に一度の成人式を気持ちよく迎えられるよう最大限サポートする」と話す。