スカイアース、歴史刻む戦いで決勝R進出 全国地域CL1次ラウンド
【グループA第3節・北海道十勝スカイアース-ブランデュー弘前FC】前半9分、スカイアースのMF縄靖也(右)が先制点を決め、DF成田憲昭(左から2人目)らと歓喜する(8日・下野市大松山運動公園陸上競技場で有岡志信撮影)
【栃木県下野市】サッカーのJFL昇格を決める全国地域チャンピオンズリーグ(全国地域CL、日本サッカー協会など主催)1次ラウンド(R)は7、8の両日、下野市大松山運動公園陸上競技場などで第2節と最終節(第3節)を行った。グループAの北海道十勝スカイアースは7日の第2節で栃木シティFC(関東1位)に0-2で敗れたが、8日の最終節は3-1でブランデュー弘前FC(東北、青森)に快勝し、2勝1敗でグループ2位を確保。A~C3グループの2位の中で最上位の勝ち点6を獲得し、十勝で初の決勝R(19~23日・千葉県)進出を決めた。道内チームが決勝Rに進出するのは、2012年のクラブフィールズノルブリッツ北海道(現ノルブリッツ北海道FC)以来8年ぶり。(有岡志信)
逆境でチーム結束 弘前FCに3-1快勝 第3節
スカイアースの勝利を告げる主審の笛が鳴り響く。3連戦の死闘を演じたスカイブルーの戦士たちが、感動のあまりピッチに倒れ込み、勝利の余韻に浸った。DF池田紘大は立ちすくみ、あふれる涙を何度もぬぐった。2020年11月8日。十勝のサッカー界に新たな進化の足跡が刻まれた。
大会前に主力にけが人が続出。高勝竜監督は「正直、無理だという空気も漂っていた」と最後に打ち明けた。ただ、逆境がチームに一体感を与え、結束力が固まった。最終節を前に指揮官は、選手にメッセージを伝えた。自身の進退を懸け、「(辞める)覚悟はできている。みんなは一生懸命やってくれ」。
その言葉に2人の「せいや」が決めた。前半9分のCKでMF縄靖也が頭で合わせて先制。1-1の後半27分には、MF田中正也がルーズボールをお見合いしたGKとDF間のボールを奪い、ハーフウエーラインから50メートル6秒フラットの快足を飛ばして勝ち越し弾。後半42分にはCKから弘前の戦意を消失させるダメ押し弾を縄が決めた。
指揮官との約束だった。9月27日の道リーグ第6節で左手甲を骨折したDF永坂勇人は、19日から始まる決勝Rで出場の可能性が高まっている。縄は「絶対に決勝ラウンドまで進んで(永坂を)出場させる」と思いを伝えた。2得点についてはCKのキッカーのMF堀河俊大主将に対し、「僕にはいつも愛のあるボールをくれる」と独特の表現で感謝した。
決勝R進出までは長い道のりだった。全国地域CL初出場の14年と17年は3戦全敗で得失点差16。他チームからは、北海道のチームが属するグループを「ボーナスステージ」と呼ばれていた。それが、18年の1次Rでスカイアースが初勝利を挙げ、19年には全敗ながらも得失点差5。全国との差を着実に縮めてきた。
苦難の歴史を断ち切り、5度の出場で全国9地域リーグの中で4番手につけた。田中は「決勝ラウンドはより強い相手と戦う。個人でもっと力を出して、チームに貢献したい」と言い切った。十勝の夢を紡ぐ未知のリーグ戦で、再び快挙のドラマを演じてみせる。
工藤が初CB 堅守に貢献
DF工藤竜平が初めて先発でセンターバック(CB)に入り、堅守に貢献した。サイドバックの選手で174センチの体格ながら、攻守のセットプレーでも体を張り続けた。
けがに悩まされ、左膝半月板損傷、右太もも裏の筋肉を痛め、今年1月3日に高監督に電話で引退を伝えた。だが、工藤の魅力的な身体能力を知っている高監督は左膝の手術をして現役続行をアドバイス。大一番で監督の期待に応えることができた。
帯広市出身(プログレッソ十勝、帯八中出)の工藤はチームのJFL昇格を誰よりも熱望。会場入り後にCBで先発を伝えられ、「気持ちでやるしかないと思ったが、手応えをつかんだ」と笑顔を見せた。
堀河主将がCKで2ゴールアシスト
MF堀河主将がCKのキッカーを務め、MF縄の2ゴールをアシストするなど、攻守でチームを統制した。
2本のCKはいずれも、蹴った位置から近いゴールポストのニアサイド付近に落とした。堀河の精度の高いプレースキックは、決勝Rでも大きな得点源となる飛び道具で「セットプレーはチャンスになる。2点を取ることができて良かった」と振り返った。
堀河は讃岐をJFLからJ2に、鈴鹿を東海1部からJFLに昇格した経験を持つ。今季新加入のスカイアースでは“JFL昇格請負人”としての期待も高い。決勝Rに向けて、さらにキックの精度を高めていく。
栃木シティFCに0-2で敗北 第2節
7日の第2節、栃木シティFC戦で北海道十勝スカイアースは、前半18分にCKからの混戦で先制点を許した。後半9分には、自軍ペナルティーエリア内で、栃木の微妙なプレーでMF佐藤瑠己安が倒され、隙を突かれて2失点を喫した。後半はパワープレーで攻撃を仕掛けたが、栃木を崩すことができなかった。
栃木は2019年シーズンから全選手がプロ契約を結び、練習環境も充実。グループ最強とも評されているチーム。高勝竜監督は「CKやFKは脅威だったが、案の定、そこでやられた」と無念の表情を浮かべた。
栃木シティFC、FC刈谷、FC TIAMO枚方と激突
◇全国地域CL決勝R
各グループ1位の栃木シティFC(関東1位)=グループA=、FC刈谷(東海、愛知)=グループB=、FC TIAMO枚方(関西1位、大阪)=グループC=、北海道十勝スカイアース(グループ2位の成績最上位)の4チームの総当たり戦で争う。上位2チームがJFLに昇格する。会場は千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアム。
▽第1節・19日
(1)枚方-スカイアース
(2)刈谷-栃木
▽第2節・21日
(1)枚方-刈谷
(2)スカイアース-栃木
▽第3節・23日
(1)枚方-栃木
(2)スカイアース-刈谷
※(1)=午前10時45分(2)=午後1時半開始
(7日)
◇グループA
▽第2節
栃木シティFC 2(1-0 1-0)0 北海道十勝スカイアース
▽得点者
【栃】
(1)大島(前半18分)
(2)岡庭(後半9分)
ブランデュー弘前FC 1(1-0 0-0)0 AS・Laranja Kyoto
▽得点者
【ブ】
(1)高橋(前半21分)
(8日)
◇グループA
▽第3節
北海道十勝スカイアース 3(1-1 2-0)1 ブランデュー弘前FC
▽得点者
【北】
(1)縄(前半9分)
(2)田中(後半27分)
(3)縄(同42分)
【ブ】
(1)川元(前半32分)
栃木シティFC 2(0-0 2-1)1 AS・Laranja Kyoto
▽得点者
【栃】
(1)吉田(後半35分)
(2)田中輝(同38分)
【A】
(1)磯部(後半13分)
▽最終順位
(1)栃木シティFC3勝(勝点9)
(2)北海道十勝スカイアース2勝1敗(6)
(3)ブランデュー弘前FC1勝2敗(3)
(4)AS・Laranja Kyoto3敗(0)
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