物置にエゾモモンガすみつく
【音更】「ここがボクの隠れ家」-。帯広市の小坂哲也さん(80)が音更町内に所有する畑の物置に、エゾモモンガがすみついている。
小坂さんによると、すみついたのは4年前。物置の天井からガサガサという物音が聞こえ、初めはコウモリだと思ったという。
追い出そうと物置の中を殺虫剤でいぶしたところ、屋根裏から飛び出してきたのはコウモリではなく、1匹のモモンガだった。以来毎年、農作業の時期になるとモモンガが巣作りに来るようになった。
4月1日には物置内で成獣1匹を確認。同25日には2匹の成獣を確認し、天井裏の棚にある農具を整理中、被覆資材の中から生後約1カ月の幼獣3匹も見つけた。発泡スチロールの箱の中にごみ袋を持ち込み、さらにその中にタオルを入れて寝床を作っていた。
物置の周囲は雑木林や防風林があり、人けの無い閑静な場所。小坂さんは「ふん尿は臭いが悪さはしない。かわいいものがすみついてしまった。無理に追い出すこともしない」と苦笑いする。
おびひろ動物園飼育展示係の藤澤美緒さんは「モモンガにとって巣作りに好条件の環境だったのでは。ただ、(すみついても)人間が野生動物に必要以上に手を掛けてはいけない。放っておくのが一番」と、自然界で暮らす動物たちと共存していく上での注意点を挙げた。
愛らしい“天井裏の住人”の様子をカメラに収めた。(写真・文 金野和彦)