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女子ボクシングの吉田選手、大みそかに初防衛戦 帯広出身の加山ジム所属

大みそかに初の防衛戦に挑む(右から)世界王者の吉田選手と加山会長

 【東京】帯広市出身でプロボクシングの元日本ウエルター級王者加山利治さん(48)が会長を務めるボクシングジム「EBISU K’s BOX」(都内恵比寿)に所属するWBO女子世界スーパーフライ級王者の吉田実代選手(31)が31日、初の防衛戦に挑む。「自分の夢を実現させるため、多くの人が協力してくれている。必ず防衛して恩返ししたい」と話す吉田選手を、加山さんは「負けず嫌いでどんどん進化している。どんな相手でも対応できる」と期待の中で見守っている。

 加山さんは1995年にプロデビュー。98年に日本ウエルター級王者に輝き、5回防衛した。2006年に引退。07年にトレーナーとなり、WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志らを育てた。K’s BOXは10年に開設した。

 鹿児島県出身の吉田選手はキックボクシング、総合格闘技の選手として21歳でプロデビュー。ボクシング技術を学ぼうと加山さんのジムに通った。選手として充実期を迎えた25歳のときに、もう一勝負しようとボクシングへの転向を決めた。「決断は、安心感がある加山会長の存在が大きかった。やるからには世界チャンピオンに、との気持ちがあった」という。

 26歳のボクシングデビュー戦に勝利し順調なスタートを切ったが、その後、妊娠・出産を経験。吉田選手は「予想外のタイミングだった。多くの人が期待してくれ、このままでは終わりたくないと思った」と2年のブランクを経て復帰した。

 復帰戦の舞台は完全アウェーの沖縄で、緊張から弱気になった。そんな吉田選手の気持ちを奮い立たせたのが、1ラウンド終了後の加山さんの言葉だった。「チャンピオンになるために戻ってきたんだろう」。結果は勝利。加山さんは「厳しい環境の中での試合を乗り越えられたのは大きかった」と振り返る。

 5戦目での初黒星も力に変え、トレーナーらとのチームワークも強固となった。その後は連勝街道を突き進み、今年6月に世界王者に輝いた。通算成績は14戦13勝1敗。「ファイター寄りだが、中間距離が落ち着く」と自らを分析する吉田選手。シングルマザーで普段は長女の実衣菜ちゃん(4)もジムを訪れ、わが家のようにくつろぐ。

 大みそかの初防衛戦は大田区総合体育館(東京)で行われ、対戦相手は中国のリー・ピンシイ。WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔を含め、トリプル世界戦となる。(池谷智仁)

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