チェルシー・フラワー・ショーで十勝の2人に金賞 初挑戦で栄誉
【ロンドン=松田亜弓】国際ガーデニングショーの最高峰「チェルシー・フラワー・ショー」(英国ロンドン)が21日開幕し、十勝から参加していた木野花園計画(帯広)の柏倉一統(かずと)代表と、未季庭園設計事務所(幕別)の佐藤未季代表による「漢方の庭」が金賞を受賞した。関係者によると、日本人の初挑戦での金賞受賞は初めて。
「善意と愛で出場、感謝」
開幕直後に庭の制作メンバーと共に知らせを受けた柏倉さんは「聞いた瞬間は理解ができなかった。メンバーが喜ぶ姿で実感が湧いた」と喜んだ。佐藤さんは「皆さんの善意と優しさ、愛がなかったら、この場所に来ることはできなかった。感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。
同ショーへの道内からの参加は初めてで、2人は初挑戦で世界的な栄誉に輝いた。全3部門のうち、次世代のための「スペース・トゥ・グロウ」部門に出展していた。審査は19日に行われ、各部門で優秀な作品が金賞に選ばれ、21日の開幕に合わせて発表された。
「スペース-」部門は全9組が出展し、うち金賞は5組だった。全3部門26組では12組が金賞(ゴールド)を受賞、他にシルバーギルト、シルバー、ブロンズの四つの賞が選ばれた。
「漢方の庭」は横幅12メートル、奥行き6メートルで、北海道の雪解けをイメージ。薬膳や漢方に使われる約30種の植物で構成している。雪解け水が植物に染み込み、人をも健康、幸せにするという循環を表現。水の周りの石は真鍋庭園(帯広)の府川洋史工事課長が手掛けた。
柏倉さんと佐藤さんは昨年初めて応募し、見事1次審査を通過。最終審査に進むにはガーデン制作費用約1700万円を出資するスポンサーが必要だったが、十勝をはじめ国内外から支援者が集まり、約440人から2000万円近くに上る資金が寄せられた。
独自性や品質管理で最高評価 審査講評
審査員の講評では、独自性や施工技術など9項目を5段階で評価した。2人の庭は独自性、細部のディテール、空間構成、植物の品質管理の4項目で最高評価だったほか、他の5項目も上から2番目の評価を受けた。審査員からは「Solid Gold(確かな金賞)」と伝えられ、9項目全てで高い評価を得たことから金賞につながった。
「庭のオリンピック」とも称される英国のガーデニングショー。100年以上の歴史を持ち、毎年約15万人が訪れる。主催する英国王立園芸協会はエリザベス女王が総裁を務め、世界最古で最も権威のあるフラワーショーとされる。今年の会期は25日まで。
◆チェルシーフラワーショー2019について
・各賞の一覧(英語)-The Royal Horticultural Society公式ホームページ