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駅ノートで旧友と50年ぶりに再会 浦幌・新吉野駅

新吉野駅と、駅ノートを手にする谷口さん

 【浦幌】町内在住の会社員谷口英樹さん(64)は、自宅近くのJR新吉野駅舎内に置かれた駅ノートの中に、中学校を卒業してから音信不通だった幼なじみの多比羅一(たひら・わたる)さんの名前をみつけ、半世紀ぶりに再会を果たした。これを契機に中学校のクラス会を初めて開くことにもなり、「いくつもの偶然が重なり奇跡が起こった。駅ノートに感謝したい」と喜んでいる。

 無人の新吉野駅に置かれた1冊の駅ノート。現在のノートは昨年1月に更新されたもので、駅に立ち寄ったさまざまな人たちの思い書き込まれている。

 浦幌出身の谷口さんは友人らが町を離れる中、故郷に住み続けている。趣味はマラソンで、がんを患い一時休んだが、手術で病を克服し、再開した。

 駅ノートを読んだのは6月上旬のこと。トレーニングで自宅から幕別まで走り、復路の途中、体調を崩して列車で帰宅。列車に乗るのは高校卒業以来で、新吉野駅に降り立ち、偶然、目にしたのがベンチに置かれた駅ノートだった。

 ページをめくると「50年ぶりに『しんよしの』駅に来ました。なつかしいです。インドネシアから来ました 多比羅」というメッセージが目に留まり、心が震えた。「珍しい苗字なので忘れることはなかった」と谷口さんは振り返る。

 メッセージの主は4月に在住地のインドネシアから故郷を訪れた多比羅さんだった。中学卒業後、料理人を目指して釧路で修業、インドネシアに渡って日本料理屋のチーフに。現在は現地で、レストランマネジメントコンサルタント会社のテクニカルアドバイザーなどとして活躍している。

 谷口さんは多比羅さんの叔母が釧路に居ることを突き止め、多比羅さんが手術のためインドネシアから帰国し、帯広市内の病院で手術・通院していることを教えられた。49年ぶりの再会は10月下旬に実現し、昔に戻って意気投合。当時の友人らも駆け付け、クラス会の初開催へと発展した。

 17日に十勝川温泉で当時のクラスメート15人が集まりクラス会を開く。谷口さんは「(多比羅さんは)来年1月にはインドネシアに戻る予定。いろいろな偶然が重なった貴重な時間を大切にしたい」と話している。(内形勝也)


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