世界で活躍するホースマンに 帯畜大出身の鬼窪さん
帯広畜産大学出身の獣医師鬼窪峻大(としひろ)さん(26)=日高管内新冠町在住=は、来年1月から半年間、世界基準のホースマンを育成するアイルランドの研修に参加する。鬼窪さんは「将来は競馬の本場・欧州の牧場で働き、日本と世界をつなぐ仕事をしたい」と意欲を見せる。
参加するのは、国営牧場「アイリッシュ・ナショナル・スタッド(INS)」のブリーディングコース。世界的に知られた研修で、世界中から選ばれた若手ホースマン30人が、生産牧場の管理責任者に必要な基礎知識や技術を習得する。研修内容は、生殖器の解剖学やスピード遺伝子、種牡馬の経済学など多岐にわたる。今回、日本からの参加は鬼窪さんのみ。
INSの研修は1971年に開始。これまでに送り出した800人以上の卒業生は、世界の牧場や厩舎(きゅうしゃ)などで活躍し、ネットワークを構築している。
神奈川県出身の鬼窪さんは高校時代に競馬の魅力に触れ、帯畜大に進学。馬術部主将を務め、オーストラリアの牧場で働くなど、在学中から世界での活躍を意識していた。2017年3月に卒業し、4月から新冠町のサラブレッド生産牧場「パカパカファーム」に勤務。同牧場は、ダービー馬ディープブリランテなどの活躍馬を生産している。
アイルランドでは、日本と異なる環境に応じた生産管理方法や、成熟した馬文化の吸収を楽しみにしている。
世界最高峰とされるアラブ首長国連邦(UAE)の研修コースへの参加が目標で、アイルランドの経験はそのステップにする考え。鬼窪さんは「技術的に欧州に追いつき、日本人ホースマンが世界で働ける環境をつくりたい」と話す。(池谷智仁)