住民らにアイヌ文化を学ぶ場提供 トカプチアイヌ協会
【音更】アイヌ文化の伝承と正しい理解の普及を目的に、トカプチアイヌ協会(帯広、笹村二朗会長代行)は昨年から、広く一般にアイヌについて学ぶ機会を提供する事業に取り組んでいる。24日には帯広大谷短期大学を会場に、学ぶ会「ともにあるアイヌ文化」を開催。地域住民ら約50人が参加し、古式舞踊やムックリ(口琴)の体験を通して歴史と伝統に思いをはせた。
同協会はアイヌ文化の保存と伝承、発展を目指して活動するNPO法人。学ぶ会は昨年、浦幌町で開いて好評を得、2年目の今年は音更町の同短大での開催となった。
実施に当たっては、十勝で唯一、国の無形民俗文化財に指定され、2009年にはユネスコ無形文化財にも登録されている帯広カムイトウウポポ保存会(酒井奈々子会長)が協力している。
24日の学ぶ会では、開会式で笹村会長代行が「ただ踊りを見せるのではなく、体験を通して理解してもらうのがこの会。楽しみながらアイヌ文化に触れて」とあいさつ。
参加者は同保存会のメンバー11人の指導で、歌に合わせ、仲間たちに共に踊るよう呼び掛ける「ウタリオプンパレワ」(輪踊り)や、和人から絹の布地で作られた衣服をもらった際の喜びを表現した「サランベ」、さらにはムックリの音の鳴らし方を学んだ。
終盤では、1937~38年に十勝地方でのバッタが大発生した時に作られたという「バッタキウポポ」を全員で踊り、会場は一体感に包まれた。
保存会の酒井会長は「恥ずかしさからか、開始時には積極的ではなかった参加者も、後半は盛り上がっていた。踊りやムックリは難しさもあるが、アイヌ文化を知るきっかけになればうれしい」と話した。
11月には浦幌町でも開催を予定している。(石川友史)