トーチカ 実物大模型も 市民ギャラリーで表現の自由展
コンクリート製の防御陣地「トーチカ」をテーマに、建築や書道、写真などの異なるジャンルのアーティストがコラボした「Freedom of expression(表現の自由)」展が20日、帯広市民ギャラリー(JR帯広駅地下)で始まった。トーチカの実物大模型をメインに、写真や地図など十勝に残る戦争の遺跡を知ることができる。25日まで。
十勝の作家たちのグループ「T・A・L(Tokachi Art Links)」(古川こずえ代表)の主催。トーチカは太平洋戦争末期に米軍上陸に備えて造られ、管内では広尾町から浦幌町にかけて30基以上が見つかっている。
実物大模型は高さ2・7メートル、幅3・6メートル、奥行き5・2メートルの大樹町旭浜に残る1基を再現。段ボール約800枚を使い、旭浜の砂利を混ぜた塗料を塗った。中に入り、敵を迎え撃つ小窓のような「銃眼」から外を見ることもできる。
会場には、写真家山下僚さんが撮影した管内のトーチカと地図、トーチカの研究を続ける小野寺一彦さんの説明を書家の八重柏冬雷さんがしたためた横8・5メートル、縦2・8メートルの大作、高橋玄禅さん、白石弥生さん、写真の古川さん、現代アートの阿部安伸さん、俳句の安田豆作さん、郷土史の飛岡久さん、伊藤昭廣さんの作品が並ぶ。
八重柏さんは「アートと融合したことで、トーチカに関心を持つ力になれば」と話す。23日午後1時半からフォーラム「物言わぬ遺跡が語るもの」、24日午後1時半からはサミットが開かれる。(松田亜弓)