道のアスリート発掘1期生木綿さん、クロカン強豪の富良野高へ
【新得】北海道が冬季競技で世界を目指す“金の卵”を育てる「タレントアスリート発掘・育成事業」のバイアスロン選手1期生木綿啓太さん(15)が、屈足中を卒業してクロスカントリースキーの強豪・富良野高の門をたたく。父仁司さん(新得消防署職員)と二人三脚でスキー漬けの日々を送ってきた。「これから自分自身の力で、道を切り開いていきたい」と意気込んでいる。
筋金入りのアスリート一家だ。祖母の武田(旧姓)美佐江さんは、1968年のグルノーブル五輪(フランス)にスピードスケートで出場。道内第1号の女性選手だった。母由合さんも三協精機の元選手で、兄宏太さん(駒大苫小牧高3年-屈足中出)はアイスホッケーU18日本代表として、世界を舞台に活躍している。
啓太さんも小学5年のときから、地元で盛んな冬のクロスカントリースキーに本格的に打ち込んだ。
バイアスロンは「動」のクロスカントリースキーに「静」のライフル射撃を組み合わせた競技。啓太さんは2014年のソチ五輪で初めてテレビ観戦し、「自分もやりたい」と一念発起した。同年スタートしたタレントアスリート発掘・育成事業に応募し、体力テストなど難関の選考会を突破。「おばあちゃんを2度目の五輪に連れて行き、メダルをかけてあげたい」と新しい夢ができた。
夏は許可を得て、ローラースキーで町農道離着陸場の滑走路を滑りながら、レーザー銃を使った射撃を練習。過酷な走り込みも自らに課した。冬シーズン中の週末は「家にいることがなかった」というほど合宿や遠征で、クロスカントリースキーの力を付けた。JR北海道や進学する富良野高の練習にも参加。傍らにはいつも、父仁司さんがいた。車の走行距離は、今シーズンだけで4万キロを超えたという。
啓太さんは年4回のミニバイアスロン大会でシリーズチャンピオンに輝き、クロスカントリースキーでは全国中学校大会(2月、秋田県)出場を果たすなど頭角を現した。
恵まれた練習環境を求めて進学を決めた富良野高では、インターハイ優勝などを目標に挙げて「世界で戦える選手に成長したい」と誓う。(小寺泰介)