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帯広百年記念館の北沢館長、31日で退職

「遺跡や出土品から歴史をひもとくのが面白い」と発掘作業などを振り返る北沢館長

 帯広百年記念館の北沢実館長(60)が31日付で定年退職する。帯広市の発掘調査員として採用されて35年。国の重要文化財指定が答申されている「八千代A遺跡」(市八千代町)の発掘にも深く関わった。「十勝の発掘調査に携わり、歴史の解明に役立ててうれしく思う」と万感の表情で話している。

「八千代A」発掘に参加
 北沢館長は札幌市出身。札幌商科大(現・札幌学院大)時代に、江別市の臨時職員として同市内で遺跡の発掘に携わった。「正解が分からない考古学で、自分で歴史を組み立て、ひもとくことに(遺跡発掘の)面白さがある」という。

 卒業後、1983年に帯広市の発掘調査員に採用され、85年から4年間、八千代A遺跡の発掘調査と出土品の整理作業に没頭した。発掘のきっかけは、先輩学芸員で89年に36歳で早世した佐藤訓敏さんの高校時代にさかのぼる。郷土史に興味のあった佐藤さんは八千代町で土偶を発見し、後に同館学芸員に着任して本格的に発掘作業を開始。当時臨時調査員だった北沢館長も一緒に汗を流した。

 それだけに、今回の重文指定答申には「十勝の遺跡がようやく日の目を見てうれしく思う。佐藤さんの思い入れのある遺跡ということも知っているので、感無量」と話す。

 市開拓110年、同館開館10周年の92年3月には特別企画展「武四郎がみたトカチ」に合わせ、上川管内南富良野町落合から新得町の佐幌川まで十勝越えを果たしたり、5月には佐幌から池田までをイカダで下ったりして、その様子をパネルなどで紹介。「今振り返っても面白いことをした」と笑顔を見せる。

 同館13代目の館長に就いたのは2011年4月。それまでは事務職が館長を務め、学芸員が館長になったのは同館では初めてのことだった。「開かれた博物館」を目指し、博物館講座や展示の充実、学校などへの出前講座などに一層、力を入れた。

 12年の市開拓130年、同館開館30年には管内各地の遺跡出土品を一堂に集めた特別企画展「発掘された十勝の遺跡~十勝平野の人類史3万年」を開催。「学芸員として総まとめのような展示ができた」と満足そうに振り返る。

あす記念講演
 31日午後2時からは同館で、退職記念講演会「私と遺跡と博物館と」を開く。「遺跡発掘の思い出話や、皆さまへの感謝の思いを伝えたい」と話している。事前の申し込み不要。入場無料。問い合わせは同館(0155・24・5352)へ。(藤島諒司)

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  • 「遺跡や出土品から歴史をひもとくことが面白い」と話す北沢館長

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