帯広出身の千葉さん NHK障害者キャスター・リポーター
電動車椅子で生活する帯広市出身の千葉絵里菜さん(22)が障害者スポーツを盛り上げるNHKの障害者キャスター・リポーターに選ばれた。2020年東京パラリンピックに向けた同局初の試み。全国からの応募159人の中から選ばれた2人のうちの1人として、23日に発表された。千葉さんは「不安も少しありますが、わくわくした気持ちの方がたくさんある。チャレンジすることの大切さを伝えていきたい」と意気込んでいる。
千葉さんは1歳で行った生体肝移植で脳性まひとなり、両手両足が不自由に。それでも帯広栄小、帯広第一中学校、江陵高校と普通学級で学び、札幌学院大学人文学部へ進学時は一人暮らしも経験した。
今春から社会福祉法人刀圭会(帯広)で働いていたが、6月から募集していた障害者キャスター・リポーターを知り「やってみたい」と応募。筆記試験やカメラテスト、面接などで東京を行き来し、9月に行われた最終の4次選考を見事に突破した。
23日に東京・渋谷のNHKで開かれた木田幸紀放送総局長の定例会見で、岐阜県出身の後藤佑季さん(21)=人工内耳使用=とともに紹介された。現在は東京で勤務している。
千葉さんは「興味があふれると行動したくなる」という活動的な性格。帯広で6月に開かれた「日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会北海道帯広大会」では司会を務めたほか、登壇して当事者としての思いを発表した。
初級障がい者スポーツ指導員の資格も持ち、車椅子カーリングや電動車椅子スラロームの大会に挑戦するなど、パラスポーツを自ら実践。札幌の電動車椅子サッカーチーム「サフィルバ」に所属し、9月30日、10月1日に静岡県で開かれた全国大会にも出場した。
母久美子さん(57)は「いろいろな方に支えてもらって今の場所に立てている。体に気を付けて頑張ってほしい」と娘の挑戦を後押しする。千葉さんは「スポーツが大好きで、そこで得た人とのつながりや世界を広げられたことが財産になっている。経験を生かして笑顔でリポートしたい」と話し、「視聴者の皆さんに障害者のことをもっと身近に感じてもらい、人々の意識が少しでも変わるきっかけが作れたら」と東京パラリンピックに向けて思いを描いている。
千葉さんは24日午後8時からEテレで放送される「ハートネットTV」に登場するほか、28日放送の総合「1000日前 東京大会へ! スペシャル」(午後1時50分~)に生出演する予定。今後もさまざまな番組に出演する。(松村智裕)