川瀬さん(中札内高養護3年)道知事賞 高校生国際美術展 十勝初の上位入賞
カニバリズム題材に
「誰も描かない絵を」
【中札内】「第18回高校生国際美術展」(世界芸術文化振興協会主催)の美術部門で、中札内高等養護学校3年の川瀬蔵馬さん(18)のアクリル画「気付き」が内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞に次ぐ道知事賞に輝いた。美術部門で十勝管内からの入賞は初めて。
受賞作の「気付き」(51・5センチ×36・4センチ)は、人間が人間の肉を食べる「カニバリズム」をテーマに描いた。中学生の時に読んだ小説でカニバリズムを知り、「調べてみて衝撃的だった。誰も描かない絵を描きたかったので題材に選んだ」という。
講評では「画面を構成する形や色彩がとてもビビッドで、テーマの重苦しさ、暗さをカバーして余りある魅力を画面に吹き込んでいる」と評価され、「若い時期にこのような内面世界を表現として客観化できる才能が、さらに今後の精進を通して成長することを期待する」とされた。
川瀬さんは小学生から絵に親しみ、「公募展に出したい」との思いを抱き、同展のポスターを見て応募を決めた。5月から約2カ月間、寄宿舎から毎週末に帰る釧路市内の実家で制作。普段はバドミントン部だが、美術部顧問の川橋雪弘教諭が部の画材を貸して後押しした。
同展の美術部門には、全国の高校生から1348点の応募があった。9~20日の会期で国立新美術館(東京)に展示され、川瀬さんは9日、都内で開かれた表彰式にも出席した。
24日、賞状とメダルを手に村教委を訪れ、上松丈夫教育長に受賞を報告。「表彰式は緊張したが、うれしいという気持ちが一番」と話した。(深津慶太)