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アイヌ遺骨を再埋葬 返還受け浦幌協会

返還された遺骨を再埋葬する浦幌アイヌ協会の関係者

 【浦幌】浦幌アイヌ協会(差間正樹会長)は19日、北海道大学(札幌)に持ち出されていたアイヌ遺骨の返還を受け、浦幌町営墓園に再埋葬した。初回返還分として63体が入った木箱のほか、人数不明の遺骨を納めた19箱が、約80年の歳月を経て古里の地に戻った。

 同協会は浦幌町内からは76人以上の遺骨が、北海道帝国大学(当時)の研究者らにより1934年から35年にかけて持ち去られたことを指摘。2014年に返還請求訴訟を起こした。今年3月22日に札幌地裁で和解が成立し、北大が同協会に返還することが決定していた。

クワを前に祈りをささげる浦幌アイヌ協会の関係者(19日午後4時15分ごろ、塩原真撮影)

 この日は理事・副学長の笠原正典教授ら同大の関係者がバスで浦幌入り。遺骨が納められた箱を受け取った同協会関係者が、町営墓園の長方形に掘られた墓穴に整然と並べた。さまざまな模様が施された浴衣で上部を覆い、土をかけて埋葬。アイヌ民族にとっての墓標である「クワ」を7本立て、食物などを供えた後に祈りをささげた。

 故人が死後の生活に困らないよう用意された刀などの副葬品69点も、併せて返還された。複製を作った後、同墓園と町立博物館にそれぞれ保管される予定。

 笠原教授は「当時の調査は国策として行われた背景がある」と述べ、差間会長が求めている謝罪については「和解の要件にはない」としたが、「個人的にはお返しできて良かった」と話した。

 差間会長は「謝罪や賠償についてはこれからだが、今は和解が成立し、遺骨が返還されたことがただただうれしい。先祖の皆さんには、申し訳ないと思う一方で、今まで待っていてくれてありがとうという気持ち」と思いを語った。

 同協会は20日午前10時から町浜厚内生活館で祈りの儀式「カムイノミ」と先祖を供養する「イチャルパ」を執り行い、埋め戻された先人を尊崇の念で迎え入れた。(石川友史)

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