「どさんこ牧」写真集に 鎌田醤油社長が自費出版
しょうゆ製造業・鎌田醤油(本社香川県)の鎌田武雄社長(45)が、芽室町の剣山どさんこ牧(まき)を舞台にした写真集「どさんこの夢」(共同文化社)を自費出版した。「東京で生まれ育った自分の価値観を一変させる、楽園のような牧場を記録として残したかった」(鎌田社長)と話している。
きっかけは14年前。仕事で十勝を訪れた際に余暇でどさんこ牧に立ち寄り、80ヘクタールの牧場で伸び伸びと暮らす100頭近い北海道和種馬(ドサンコ)に目を奪われた。同牧場の川原弘之代表(79)の人柄にも引かれ、「当時、都市部の企業でストレスを抱えながら働いていた自分には癒やしの場所。いつしか繰り返し足を運ぶようになった」(鎌田社長)という。
一方で、後継者問題など牧場の存続に陰りが出ていることを知り、思い出を写真に残そうと写真集出版に思い至った。
知人であるフォート・アクト(札幌)の佐藤雅英社長の紹介で、帯広市の写真家戸張良彦さん(60)に撮影を依頼。戸張さんも鎌田社長の趣旨に賛同し、2014年6月から今年3月まで月2、3回のペースで同牧場に通い、馬たちの群れに交じって“密着取材”を重ねた。約2年にわたり撮りためた写真は約6000枚を数え、最終的に87枚に絞った。
写真集は全120ページ。十勝の四季とともに、戸張さんが馬の目線で捉えたカラー写真を中心に掲載している。50~63ページは一転してポートレートを意識した馬のモノクロ写真が並び、ドサンコを正面から撮ったインパクトある写真は表紙にも採用されている。
川原代表は「馬たちの自然体の姿が見て取れる。ありがたい」と喜び、鎌田社長は「馬と人の父であり、母である川原さんへの感謝の思いもある。十勝が誇る日本一のドサンコ牧場の世界を写真から感じてもらえれば」と話している。
2000部発行。1冊3000円(税別)。十勝管内の一部書店でも取り扱っている。(小縣大輝)