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自己チェックや検診を 小林麻央さんで注目「若年乳がん」

「授乳中で検診が受けられない」。不安を感じる若い母親層は多い(写真は本文と関係ありません)

 歌舞伎俳優市川海老蔵さんの妻の小林麻央さんが乳がんであることが明らかになり、「若年乳がん」が注目されている。十勝でも特に検診を受けるのが難しい授乳中や、乳幼児を持つ若い母親層から「人ごとでない」「不安だ」といった声が聞かれ、一部医療機関では若年層の検診などの問い合わせが増えている。ただ、発症自体は全体の数%ほどと低く、国の検診助成もないのが現状。専門医は「自己チェックはもちろん、遺伝性などが疑われる場合は一度検診を受けた方がいい」としている。

 「年齢的に、ちょうど会社の乳がん検診を受けようとした矢先に、この子ができた。出産後もずっと気になっていたので、麻央さんの報道を見てさらに不安になった」。2歳の子を持つ帯広市内の女性(34)は現在、2人目を妊娠中で、8月に出産の予定。「出産後も授乳があり、まだしばらく受診できない。自己触診はしているが、夫も心配している。この子には申し訳ないが、早めに断乳して一度検診をうけたい」と、おなかを見ながら話す。

 北斗病院(帯広)には、麻央さんの病状が報道されて、海老蔵さんが記者会見した9日以降、コールセンターやメールなどで検診の申し込みや相談が増えている。「直後の2日間で60件以上。乳幼児を持つ20、30代の女性、授乳中の人などからの問い合わせが大半」と地域医療連携課検診センターの高橋宏彰課長。

 同院乳腺外来センター長の川見弘之副院長は「以前当院では35歳以下の患者はほとんどいなかったが、ここ数年は100人に数人はいる。食事の欧米化や、出産年齢の上昇などさまざまな要因が考えられるが、国の検診助成対象が40歳以上ということもあり、若年性の場合、通常より早い段階で発見できないケースもある」とする。

 厚生労働省によると、全国では12人に1人が乳がんと診断され、1万3200人が死亡。がんの罹患(りかん)トップで増加の一途をたどっている。ただ、通常は40、50代に多く、おおむね35歳以下の「若年性乳がん」は日本乳癌学会(本部東京)のデータベースでは全体の2・7%にとどまる。

 帯広厚生病院の吉岡達也外科医長(日本乳癌学会乳腺認定医・専門医)は「妊娠中や授乳中などは検査内容も限定され、しっかりと分からないケースもあるので、関心を持って日々のセルフチェックをすることが大切」とした上で、「3親等に乳がんの人がいた場合は、若いうちでも一度、検診を受けた方がいい」と話す。

 同院でも乳がんに関する問い合わせ電話などは通常より増えており、今後、若い層が相談を受けやすいよう土・日曜の開設を検討していくという。(佐藤いづみ)

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  • 小林麻央さんで注目される「若年乳がん」 2

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