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22歳社長走る 鋼材卸の武藤商事(芽室)の武藤直満さん

22歳で鉄鋼卸会社の経営を担う直満さん

 【芽室】鉄鋼卸の武藤商事(町東芽室基線3)で、22歳の社長が奮闘している。武藤直満さん。同社を営んでいた祖父・満雄さん(享年75)の死をきっかけに、大学生から経営者へと転身した。販売する鋼材の特徴を覚え、取引先をこまめに回るなど、在りし日の祖父の背中を追って汗を流している。

 同社は鉄鋼卸の三笠商事帯広営業所が前身。満雄さんは1978年の営業所設立に携わり、長年、所長を務めた後、2014年12月に事務所閉鎖に伴い独立した。主に、農業機械や産業機械の原材料となる特殊な鋼材を扱っている。

 直満さんは奈良県出身。父の賢一さんは鋼材メーカー・東洋特殊鋼業(本社大阪市)の社長を務める。直満さんは千葉県の私立大学で中国語を学び、将来は父の会社の海外展開に貢献しようと考えていた。

 転機は、満雄さんが独立後4カ月の昨年3月、病気療養のため帯広市内の病院に入院したとき。見舞いに訪れた直満さんは、満雄さんから会社を引き継ぎたいと打ち明けられた。

 「祖父は会社を立ち上げたばかり。大学進学などで面倒を見てもらったこともあり、恩返しになる」と事業承継を決断し、大学を中退。「(祖父から)経営の教えを受けながら徐々に引き継ごう」(直満さん)と考えていたが、2カ月後の同5月に満雄さんが亡くなり、社長業と向き合うことになった。

 社会人としての経験もない中での会社経営。先代からの従業員3人と共に、厳しくも温かな雰囲気の中で経験を積んでいる。経営者の先輩である父からは「気遣いや言葉遣いなど、社会人としての初歩についてアドバイスをもらった」という。

 古里に比べ、広大な道東が営業範囲。慣れない車の運転で、北見まで足を運ぶこともある。扱う鋼材の硬さや適性など製品情報を頭に入れながら、出荷前に必要な鋼材の切断作業にも当たる。

 業務を引き継ぐ中で感じるのは、満雄さんの経営者としての大きさだ。「パソコンでの情報管理が主流だが、顧客の細かな情報は全て祖父の頭の中にあった」と直満さん。顧客との信頼関係も強く、「まずはその信頼を崩さないようにしなければ」とプレッシャーに感じることもある。

 直満さんの目標は、特殊な鋼材を扱う、会社のその特徴を生かすこと。「どんな鋼材の注文にも対応して配達できる、小回りの利く会社を目指したい」と意欲を燃やしている。(深津慶太)

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