行くぞ!夢の甲子園、更農高野球部 部員が資金たてセンバツへ
更別農業高校の硬式野球部(今村和彦監督、部員5人、マネジャー1人)が30日から4月1日まで、初めて甲子園球場へ足を踏み入れる。部員たちが自らアルバイトでためた資金で、選抜高校野球大会の準決勝と決勝を見学する。1985年の公式戦初出場から0勝45敗(連合含む)と、管内高校では士幌とともに勝利を味わったことのない弱小チームだが、「憧れの場所をじかに見て、目標を明確にしたい。今季は悲願の1勝を果たし、そのまま勝ち続けて甲子園に再び来れたら」(稲谷勇也主将=2年)と実力での聖地参戦を目指す。
甲子園観戦は今村監督の発案。前任の小樽水産高でも同様の取り組みをし、「選手たちのやる気が向上した」という。保護者に負担を掛けないため、部員たちはアルバイトで費用を稼ぐことを決意。昨秋は地元農家でカボチャの収穫を手伝い、年末には六花亭製菓の工場で働いた。「目標があったのでバイトも楽しかった」と1年生の横田裕輝選手。それぞれが10万円ほど稼ぎ、今回、2泊3日の日程で選抜大会の準決勝1試合(30日)と決勝(31日)を観戦する。
稲谷主将と梶村永輔、竹谷奏人、西田幸希の2年生選手4人は、休部状態から復活した2014年に1年生で入部。4月から最上級生となる。甲子園では「同じポジションの選手のプレーを参考にする」「テレビでは分からないベンチワークも見たい」と、観戦を心待ちにする。
冬期間は学校の野菜用ビニールハウスを活用、土の上でバッティングや捕球の練習を黙々とこなした。ウエートや加圧によるトレーニングで筋力も向上している。マネジャーの森谷汐里さん(1年)は「強くなるためのお手伝いをしたい」とサポートに励む。
今村監督は「自分たちのゴールとなる場所を見て、刺激を受けてほしい」と期待する。稲谷主将は「新1年生にたくさん入ってもらい、僕らの代で歴史をつくる。そのための努力は惜しまない」と決意に燃えている。(松村智裕)