宮本商産の赤レンガ 登録有形文化財目指す
「赤レンガ」の愛称で知られる宮本商産(平征浩社長)の旧本社ビル(帯広市西2南5)について、国の「登録有形文化財」指定を目指す動きがある。北海道建築士会十勝支部(奥周盛支部長)が支援し、同社は今年中に登録手続きを行う見通し。今後は、文化活動拠点として活用する構想もある。
「赤レンガ」は1919年に完成。木骨レンガ造り2階建て、延べ床面積178平方メートル。ヨーロッパ様式を取り入れ、外壁に使われた赤レンガの温かみや先進的なデザインが注目を集めた。2002年まで事務所だったが、現在は活用していない。
同会は建築物を通して歴史を見直し、まちづくりに参画しようと、1983年から市内17カ所の古建築を調査。貴重な建物を後世に残すため、来年度から本格的に同文化財指定の支援に乗り出す。
まずは、所有者が登録に前向きな赤レンガを対象にした。4月以降に改めて建物を調査し、登録に必要な現況図を作製する。調査に当たり、帯広市に費用の一部負担などの協力を求めている。
同会の三日市則昭専務理事は「帯広の財産として発信したい。将来的には、市内に点在する古建築を活用し、回遊できる空間を創出したい」と話す。同社の山口良治常務は「会社のシンボルであり、残していきたい」とし、今後はサークル活動やコンサートに貸し出すなど建物の活用方法を検討する。
道教委によると、道内の同文化財は143件。十勝管内は、双葉幼稚園園舎(帯広)と旧国鉄士幌線のアーチ橋群(上士幌)6件の計7件が登録されている。(池谷智仁)
<登録有形文化財>
開発などで消滅が危ぶまれる近代建造物を守り、活用する制度。築50年を経過し、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないことが基準となる。修理設計監理費補助や固定資産税減税などの優遇措置があり、外観を大きく変えなければ改修や改装もできる。所有者が登録を希望し、地方公共団体を通じて文化庁が候補物件を選定。文化審議会の諮問・答申を経て、登録される。
開発などで消滅が危ぶまれる近代建造物を守り、活用する制度。築50年を経過し、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないことが基準となる。修理設計監理費補助や固定資産税減税などの優遇措置があり、外観を大きく変えなければ改修や改装もできる。所有者が登録を希望し、地方公共団体を通じて文化庁が候補物件を選定。文化審議会の諮問・答申を経て、登録される。