火災警報器、帯広は3割未設置 市消防本部「状況確認を」
すべての住宅で設置が義務付けられている「火災警報器」の普及が頭打ちだ。帯広市では約7割とおよそ4件に1件が未設置で、全国平均を下回る。設置済みでも、電池切れなど交換時期を迎えている住宅も多いという。警報器の作動により被害を最小限に抑えた例は多く、市消防本部は早急な設置と定期的な点検を呼び掛けている。
市内で11日未明に発生した住宅火災では高齢女性1人が病院に運ばれ、間もなく死亡した。同本部は12日に実況見分を行い、1階東側の台所付近の燃え方が激しいことは確認したが、出火原因の特定には至っていない。
女性の家族によると、警報器は過去に設置していたが、電池が切れたため取り外したままになっていたという。同本部は「警報器が設置されていれば、今回と別の結果になった可能性はある」とする。
市内で2008年以降に発生した住宅火災で、警報器が設置された住宅での死者は一人も出ていない。警報器の作動が迅速な避難行動につながり、死亡要因で最も多い「逃げ遅れ」の防止に役立っているとみられる。
警報器は消防法改正で06年から新築住宅で、帯広市では08年から条例で既存住宅を含む全住宅への設置が義務付けられた。寝室と2階に寝室がある住宅については、階段にも設置する必要がある。
ただ、全国的に普及率は伸び悩み、総務省消防庁によると、昨年6月現在、全国平均で8割弱、帯広市は72%と全国を大きく下回っている。普及が進まない理由に関し、同本部は「火事にならないという思い込みや、費用面(1個3000円~5000円程度)の問題がある」とみる。
警報器は、電池切れなどで火災を検知しなくなる恐れがあるため、月に1回以上の点検が必要。作動確認は、警報器のボタンやひもを引っ張るだけで簡単にできる。同本部は電池の交換時期を5~10年とし、「義務化で設置して以降、交換時期を迎えている住宅も多い。各家庭では今一度、警報器の状況を確認してほしい」と呼び掛けている。(高津祐也)