初の3000億円超も 15年管内JA取扱高
2015年産農畜産物の十勝管内JA取扱高は、収穫がこのまま順調に進めば史上初めて3000億円を突破する可能性があることが、農業関係者の間で話題となっている。小麦が史上最高の豊作だったことや、酪農・畜産の生産量・単価の上昇が生産額を押し上げそうだ。
JA取扱高は十勝地区農協組合長会、十勝農協連、十勝総合振興局がまとめ、毎年12月末に発表している。昨年産は耕種・畜産ともに好調で、過去最高の2798億円を記録。15年産はさらに大幅に上回るとの見方が、管内の農協関係者の間では強い。
品目別にみると、畑作では7~8月に収穫された小麦の収量が過去最高で、品質も各JAとも高く、生産額で昨年を100億円以上、上回る見通し。
ジャガイモは春から夏の雨不足の影響を受けて収量は昨年を下回る見通しだが、平年並みは確保できそう。他産地の天候不順で生食用の価格が高く、畑によって収量・品質の違いが大きく出ている。
収穫後半を迎えている豆類は、ここ数年の豊作傾向で小豆や菜豆の価格が下がっているが、収量はまずまずのもようだ。
今後収穫本番を迎えるビートは11年ぶりに栽培面積が増え、収穫量も昨年を上回る見通し。ビートは秋の気温が低いと糖度が高くなるため、糖業各社や農家は糖度上昇に期待している。
酪農は生乳生産量が順調に伸びて乳価も上がり、乳牛の不足感から牛の個体販売も高い。肉牛も和牛の子牛販売が史上最高値で、枝肉も全国的な不足感から高値で推移しており、酪農・畜産全体で100億円以上伸ばすとみられる。
農協以外の商社系も含めれば、十勝の農業粗生産高が3000億円を超えるのは確実。管内の農協関係者は「環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意で不安な中だが、十勝農業の重要性を示すことができるのでは」という声の一方、「生産高の上昇は小麦によるところが大きい。小麦はTPPで関税削減の対象となっており、TPP後に向けて今から対策を取らなければ」といった意見も多い。(眞尾敦)