刈草をバイオガス資源に活用 鹿追で試験開始
【鹿追】帯広開発建設部帯広河川事務所(藤田隆保所長)と町は13日、町環境保全センター・バイオガスプラント(町鹿追北4線5)で、河川の堤防の刈草をバイオマスエネルギー資源として有効活用する試験を開始した。刈草を家畜ふん尿に混入させることでバイオガス発生効率と消化液の肥料成分の向上が期待される。
同事務所は、河川の堤防の維持管理として毎年約120万平方メートルの河川敷の草刈りを行っている。一般的には刈り倒すのみだが、市街地周辺では刈草の飛散や虫の発生が懸念されることから集草・ロールにして一般廃棄物として処理している。処分量は年間600トン前後で、処理費用は同1000万円に上る。
同事務所と帯広畜産大学との共同研究によると、家畜ふん尿に刈草を添加することでガス発生量は約3倍となり、良質な堆肥にも効果があるとする。発電の効率アップを目指す町との間で3月に「河川維持管理に伴い発生する刈草に関する協定」を交わし、同事務所が実施した刈草の一部を町が受け入れ、バイオガス発生効率や消化液肥料成分の向上への効果を測定することになった。
6月末から8月初めにかけて帯広市の十勝川や音更町と士幌町の音更川で刈り取った約500トンのうち、約170トン、ロール約500個を同センターに搬入。前処理として刈草を裁断し、ふん尿と混ぜ合わせて、この日、実際にプラントに投入した。同センターでは刈草を毎日2、3トン投入することにし、ガスの発生効率や肥料成分のデータを収集する。
同センターで刈草が170トン処理されることで、従来必要とされていた処分料のうち約200万円のコスト軽減も図られる。藤田所長は「試験結果が良ければ他の河川やバイオマス施設にも広がり、循環型社会形成への貢献につながる」と期待を寄せている。(大野篤志)