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札幌看板落下事故 帯広の対応は

帯広市中心部にもさまざまな看板が設置されている。ビル所有者には点検・報告が義務付けられている(塩原真撮影)

 札幌市の「札幌かに本家札幌駅前本店」から看板の一部が落下し、通行していた女性に直撃した事故は、帯広市内のビルのオーナーや看板業者らにも衝撃を与えている。看板などの屋外広告物に関して点検や報告を義務付ける法律はあるが、帯広市内でも「野放し」状態の看板があるのが実態のよう。関係者からは「(安全確保は)オーナーの意識の問題」との指摘も聞かれる。

 建築基準法では、病院やホテルなど不特定多数が集まる一定規模以上の「特殊建築物」に、看板の取り付け状況や外壁の損傷などの点検と報告を義務付けている。同法に基づく帯広市の規則では、建物により年1回、または3年ごとの点検・報告を求めている。

 市内で今年度該当するのは323棟で、うち札幌の落下事故と同じ飲食店ビルは62棟。同法では定期報告を怠ったり、虚偽報告をしたりした場合は100万円以下の罰金が科せられるが、市建築指導課によると違反事例はないという。

 道屋外広告物条例では10平方メートルを超える看板などの広告物は道に届け出なければならない。設置時に届け出をして3年ごとに更新する必要があり、看板の設置者が業者に委託するなどして点検する。十勝総合振興局は「更新の届けがない場合、指導書を出している」とする。

 十勝では、市町村への権限移譲で、道から取り扱い許可業務を受けている芽室町と鹿追町を除いて看板やのぼりなどを含め全1120件(帯広市内672件)の設置が許可されている。

 道条例に基づき、点検業務を担う市内のある看板業者は自らが受注する管内外の約50件について「(更新時期の)3年に1度、きちんと点検の連絡を受けている」とする一方、「更新しなければ撤去しなければならないが、そのままになっている所もある」と現状を指摘する。

 定期的に点検・報告を行っているという市内のビルのオーナーは「報告義務を守らなくても罰則が適用されたと聞いたことがない。帯広でも真面目に点検しているビルとそうでないビルがある」とする。

 帯広市中心街にある6階建てビルでは看板の電球が切れた時などに看板製作会社が不定期で点検しているだけ。費用の負担が大きく、2年前にビルの全看板を点検した際には約20万円かかったという。「本来は定期的な点検で報告書の提出が必要だと思うが、一度も行政側からの催促が来たことがない」(同ビル管理関係者)と打ち明ける。

 同ビルでは3月に一部看板の入れ替えを行う予定で、「費用はかかるが、業者に隅から隅まで見てもらいたい。今回の事故を機に規制も厳しくなるのでは」(同)とみる。

 看板業者らでつくる帯広広告美術業協同組合の飯田利次理事長は「危険性のある看板に対しては管理者に積極的に働き掛けて対応していくことも必要」と話している。

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