女性目線で再整備検討 競馬場改修で帯広市
ばんえい競馬を開催する帯広市は、建設から40年がたって老朽化した帯広競馬場のスタンド施設の整備を検討している。「男性の施設」のイメージが強い競馬場に女性の視点を取り入れ、常連客や家族連れ、観光客など異なる客層が共存できるよう、休憩所新設を含めた施設の再配置を想定している。大規模改修の可能性もあり、来年度実施されるする同競馬場の耐震診断結果を待って本格的な検討に入る。
同競馬場のスタンドは1974年に完成。地上3階建てで、延べ床面積は8941平方メートル。十勝農協連が所有し、帯広市が賃借している。
現時点では、人がすれ違うのがやっとの狭い施設入口を拡大し、入り口付近に女性や家族連れなどがゆったり過ごせる休憩所を整備する考え。スタンドのペンキ塗りや、ひび割れ補修も検討している。まずは今年度中にも、近々の課題となっているトイレに洗浄機付き便座を設置する予定。
ばんえいは観光の要素も強く、女性が訪れやすい環境が重要と考えた市は、同競馬場で働く女性たちに改善点の検討を依頼。広報や接客、投票業務などに従事する15人が議論し、昨年10月に報告書をまとめた。
報告書では、汚れや雰囲気がギャンブルのイメージにつながり、「男性の施設」と感じると指摘。床が汚れ、臭いがきついトイレや、通路が狭い身障者トイレ、車いすやベビーカーが入りづらい狭い入り口の解消の他、分煙徹底やキッズコーナー充実も求めた。取りまとめに当たったばんえい十勝広報の徳田奈穂子さんは「馬券購入に専念する人や家族連れなど、それぞれが楽しめる場の提供を目標にエリア分けができれば」と話す。
市は報告書の内容を踏まえて整備を検討するが、十勝農協連が来年度に行う耐震診断の結果を受けてから具体化させる方針。耐震改修促進法改正により、病院や店舗など不特定多数が利用する大規模建築物は2015年12月末までに耐震診断の実施と結果報告が義務付けられており、同競馬場も該当する。
市ばんえい振興室の佐藤徹也室長は「施設配置を根本的に見直す。優先順位を検討し、できるものから着手したい」としている。(池谷智仁)