日本女子追い抜き銀、チームスプリントV W杯スケート
スピードスケートのワールドカップ第1戦帯広大会は第2日の15日、明治北海道十勝オーバルで男女の6種目を行い、女子団体追い抜き(チームパシュート)で高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)、田畑真紀(ダイチ)、菊池彩花(富士急)が出場した日本が、3分4秒78のリンク新記録でオランダに次ぐ2位となり、今大会の日本勢2個目のメダルを獲得した。十勝初開催のチームスプリント(公開競技)は、女子の日本(黒岩美生=日体大、樋沙織=日本電産サンキョー、高木美帆=日体大-帯南商高出)が韓国を0・01秒差でかわし優勝した。(ワールドカップ帯広大会取材班)
15日の男子団体追い抜きは、小川拓朗(帯広連盟)が出場した日本が5位、同チームスプリントは今野陽太(開西病院)が出場した日本が3位に1000分の8秒差の4位だった。団体追い抜きは男女ともオランダ、男子チームスプリントもオランダが制した。
Aクラス女子1000メートルは小平奈緒(相澤病院)の8位が最高。高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)は20位に終わった。マリト・リーンストラ(オランダ)が1分16秒23のリンク新記録で制した。
同男子1000メートルはパベル・クリズニコフ(ロシア)が1分9秒23のリンク新記録で制覇。同クラスに日本勢の出場はなかった。
作戦奏功「取れて良かった」高木菜
タイムレースで競った女子団体追い抜きで、日本が今季開幕戦での輝きを見せた。高木菜那、菊池彩花、田畑真紀の3人に、サブには押切美沙紀が控える。4位と銅メダルまであと一歩だったソチ五輪と同じメンバーで臨んだ。
高木菜はこの日はすでにAクラスの1000メートルに出場し、最下位の20位に沈んでいた。「気持ちが空回りしてひどいレースだったので、いい滑りで挽回したい」と臨んだ。
1周目は高木菜が先頭でスピードを上げながら引っ張り交代。田畑、菊池と息を合わせてリズムをつかんだ日本は、積極的な滑りで周回を重ねた。これまで1周で変えていた先頭を1・5周にして、タイムロスを最小限にする作戦も奏功した。高木菜はラスト1周半は再び前に出て滑走。この日一番の歓声を浴びながら、今大会3レース目の疲れも見せずにゴールに飛び込んだ。
ソチを制した女王のオランダとは2秒24差。高木菜は「地元で銀メダルを取れて良かった」と喜びながらも、「個人とチームのレベルを上げてオランダに追い付きたい」と、さらに気合を入れていた。
若手の男子5位
○…国際大会で初めて男子団体追い抜きのメンバーに入った小川拓朗は「前日の5000メートルと桁違いに緊張した。スピードがないタイプなので置いていかれないように気を付けた」とすがすがしい表情で話した。
スタートこそ少し遅れそうになったが歯を食いしばって食らいつき、4、5周目には抜群のスタミナを生かして先頭に出た。小川は「先頭が交代すると減速するので、1人が長めに引っ張った。他のチームより(交代数は)少ないはず」と忠実に作戦を実行した。小川とウィリアムソン師円は19歳、中村奨太(ロジネットジャパン)は21歳。小学校時代に道内の大会で競い合った幼なじみの若い力が、ソチ五輪で出場できなかった同種目を切り開いていく。
イメージと合わず
Aクラス女子1000メートル8位、小平奈緒の話
きのうの500メートルの感覚では、1位の選手と同じくらいのタイムが出せると思っていた。イメージと体が合わなかった。ネガティブにならず、今後は修正して質の良い滑りをしたい。
美帆快走 日本V 女子チームスプリント
○…公開競技のチームスプリントで、高木美帆が出場した日本が1位を獲得した。3人同時にスタートして滑走。1周ごとに1人が抜ける競技で、最後に独走した高木美はスピードを上げて、半周間隔で滑った韓国を逆転し、ゴールに飛び込んだ。
経験のない種目で事前練習もなかったが、1周目は先頭で黒岩美生(日体大)、2周目は樋沙織(日本電産サンキョー)が引っ張った。高木美は「(樋から)良い形でスピードを落とさずに引き継げた。足の余力があった」と振り返った。
6時間前のBクラスの1000メートルでは4位に入ったものの、1分18秒40のタイムに「上(Aクラス)とは全然戦えない」。サプライズで横断幕を製作した帯南商高時のクラスメートがリンクサイドで大きな声で応援する中で、満足いく結果を出せずに悔しがっていただけに、表彰台で笑顔を見せた。
男子は僅差の4位
競技楽しみ 刺激受ける 今野
○…男子チームスプリントに出場した今野陽太は最終周で滑った。「練習は足合わせ程度に少しやっただけだが、面白かった」と笑った。
五輪種目になるかは不明だが、今野は「短距離の強い日本にとって向いているのでは」と話す。この日の自身の出来はあまり良くなかったとするが、最終日のBクラス1500メートルに向けて、刺激を受けたようだった。
<W杯スケート 15日の記録>
(7位以下関係分)
【男子】
◇1000メートル
▽Aクラス
世界記録 シャニー・デービス(米国)1分6秒42
日本記録 長島圭一郎(日本電産サンキョー)1分8秒09
国内最高 長島圭一郎(日本電産サンキョー)1分9秒74
リンク記録 イ・ギュヒョク(韓国)1分9秒44
(1)パベル・クリツニコフ(ロシア)1分9秒23
(2)キエルド・ナウス(オランダ)1・9・27=以上リンク新
(3)サミュエル・シュワンツ(ドイツ)1・9・77
(4)バンサン・ドヘートル(カナダ)1・9・907
(5)シャニー・デービス(米国)1・9・908
(6)クン・フェルバイ(オランダ)1・9・98
▽Bクラス
(1)楊 帆(中国)1分10秒73
(2)スベーレ・ルンデ・ペデルセン(ノルウェー)1・10・89
(3)リチャード・マクレナン(カナダ)1・11・07
(4)李 佰林(中国)1・11・08
(5)河 降善(韓国)1・11・35
(6)小田 卓朗(早大)1・11・584
(6)バンジャマン・マセ(フランス)1・11・584
(12)中村奨太(ロジネットジャパン)1・11・78
(14)中村健斗(日本電産サンキョー)1・11・80
(16)中村駿佑(法大)1・11・86
(17)藤野裕人(同)1・12・02
◇団体追い抜き
世界記録 オランダ3分35秒60
日本記録 出島・平子・杉森3分40秒65
リンク記録 ノルウェー3分52秒11
(1)オランダ(スベン・クラマー、オウター・オルデフーフェル、ダウエ・デフリース)3分43秒68
(2)韓国3・47・15
(3)ロシア3・48・22
(4)ポーランド3・48・66
(5)日本(ウィリアムソン師円、中村奨太、小川拓朗)3・51・53=以上リンク新
(6)オーストリア3・52・24
◇チームスプリント(公開競技)
(1)オランダ(カイ・フェルバイ、ピン・スヒッパー、ステファン・フルートハウス)1分20秒97
(2)ドイツ1・21・94
(3)カナダ1・22・450
(4)日本(中村健斗、中村駿佑、今野陽太)1・22・458
(5)中国1・22・69
(6)韓国1・23・55
【女子】
◇1000メートル
▽Aクラス
世界記録 ブリタニー・ボウ(米国)1分12秒58
日本記録 小平 奈緒(相澤病院)1分13秒98
国内最高 小平 奈緒(相澤病院)1分15秒91
リンク記録 ヘザー・リチャードソン(米国)1分16秒45
(1)マリト・リーンストラ(オランダ)1分16秒23
(2)イレイン・ブスト(オランダ)1・16・34=以上リンク新
(3)李 奇時(中国)1・16・54
(4)張 虹(中国)1・16・78
(5)李 相花(韓国)1・17・03
(6)カロリナ・エルバノバ(チェコ)1・17・05
(8)小平奈緒(相澤病院)1・17・23
(20)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)1・19・00
▽Bクラス
(1)バネッサ・ビットナー(オーストリア)1分16秒77
(2)イダ・ニョトン(ノルウェー)1・17・99
(3)住吉 都(ローソン)1・18・35
(4)高木 美帆(日体大-帯南商高出)1・18・40
(5)菊池 彩花(富士急)1・18・99
(6)劉 倚池(中国)1・19・45
◇団体追い抜き
世界記録 カナダ2分55秒79
日本記録 高木菜・田畑・菊池彩2分57秒26
リンク記録 韓国3分6秒54
(1)オランダ(イレイン・ブスト、マリト・リーンストラ、マリエ・ヨリング)3分2秒54
(2)日本(高木菜那、菊池彩花、田畑真紀)3・4・78
(3)ドイツ3・6・51=以上リンク新
(4)カナダ3・6・66
(5)ポーランド3・7・37
(6)ロシア3・8・56
◇チームスプリント(公開競技)
(1)日本(黒岩美生、樋沙織、高木美帆)1分29秒39
(2)韓国1・29・40
(3)オランダ1・29・56
(4)ロシア1・30・47
(5)カナダ1・31・82
(6)中国1・32・58
◆ISUワールドカップスピードスケート帯広大会について
・大会の概要(英語)-大会公式ホームページ
・随時情報発信中、日本人選手の動画もあり(日本語)-大会公式Facebook
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