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音楽療法士で活躍 元帯三条高合唱部の武内さん

音楽療法士の認定証を持ち社会人として一歩を踏み出した武内さん(手前)と、樹音の村井代表

 豊頃町出身で元帯広三条高校合唱部員の武内栄枝さん(23)=帯広在住=が、日本音楽療法学会(東京)認定の音楽療法士となり、帯広市大正町の音楽セラピー樹音(じゅね、村井孝子代表)で職員として活躍している。名門合唱部で鍛えた喉を生かし、「音楽で地域の福祉に貢献したい」という高校時代からの夢をかなえた。

 武内さんは、2009年に同部が初めて全日本合唱コンクール高校部門で全国制覇したときのメンバーでアルトを担当。発声練習を指導する「学生指揮者」も務めた。豊田端吾顧問の下で本格的に合唱を学び、音楽が持つ力を感じた武内さんは、当時から福祉施設などを訪問して音楽と福祉を結びつけた道に進みたいと考えていた。

 豊田教諭からは声楽の道も勧められたが、10年度に札幌大谷大学に新設され、道内唯一の音楽療法士資格試験認定校の音楽療法コース(芸術学部音楽学科)に進学。わずか10人の第1期生として音楽療法の概論を学び、児童・成人・高齢者の領域で実習を積んできた。今年3月の卒業と同時に、同学会認定の資格試験(1次は筆記、2次は面接)に合格した。

 「十勝に就職先はないだろう」(武内さん)と諦めていたが、障害のある子供たちを対象に児童デーサービス、日中一時支援のほか、出張音楽セラピーを展開する「樹音」が同大学に求人票を出していて、地元での就職に結びついた。

 「樹音」は、村井代表(54)のダウン症の四女樹子さん(中札内高等養護学校2年)が音楽を通して生活に必要な能力を身に付けていった経験から、音楽療法を積極的に取り入れている。武内さんは「実習で初めて来たときは豊富な楽器の種類と、パネルシアターやフラッシュカードを用いた療法の数々に驚いた」という。現在、1日15~20人の子供が児童デイと日中一時支援を利用している。

 4月から「樹音」で働く武内さんは、合唱で鍛えたイタリア歌曲や日本歌曲を披露し、児童だけではなく職員にも好評だ。中学まで続けた剣道は二段の腕前で体力にも自信はある。村井代表は「子供たちと同じ平成生まれの若い感性を生かし、歌で活躍してもらっている。大学で基礎を積んだ音楽療法士がいるのは心強い」という。

 武内さんは「まだまだ先輩方に助けられてばかりだが、自分のカラーを出して私の歌で子供たちにいっぱい幸せを与えられるような音楽療法士を目指したい」と話している。(酒井花)

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