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途上国の子供に写真で笑顔を 帯広の須藤真和さん

現地で撮影した子供たちの写真を前に「写真が持つ力を教えられた」と話す須藤さん

 帯広在住の須藤真和さん(33)が、発展途上国の子供たちに写真を贈る事業に取り組んでいる。脱サラして英語習得のために訪れたフィリピンの貧困地区で、1枚の写真が子供たちを笑顔にすることを実感して以来、ポラロイドカメラで撮影を続けている。須藤さんは「地元でも協力者を募り、講演や写真の展示もしたい」と呼び掛けている。

 須藤さんは幕別高校を卒業後、自動販売機に飲料を補充する会社のアルバイトから正社員になった。その後も真面目な働きぶりが認められ、20代で管理職に。名古屋市の関連会社に引き抜かれて転職も経験した。

 この間、趣味で写真を本格的に始め、2012年、名古屋市内で開かれたアマチュア向けのワークショップに参加。講師の鈴木有人さん(横浜市在住)と出会い、東日本大震災でのボランティアなど写真家としての活動に感銘を受けた。効率ばかりが求められる仕事に行き詰まりを感じていた時期でもあり、「一度切りの人生。自分の夢を追い掛け、好きな写真を撮りたい」と退職を決めた。

 同年、憧れだったオーストラリアに行くために、フィリピンの首都マニラから車で約3時間離れたターラック州サンマニュエル市の語学学校に3カ月間在籍。近隣の貧困地区で一人の物乞いの少年に出会い、須藤さんは手持ちのカメラで撮影した。少年が手を出してきたのでお金をせがまれると思ったら、喜びのハイタッチだった。その日のうちに写真を現像、少年を探したが見つからなかった。この経験をきっかけに、今はその場で現像できるポラロイドを使っている。

 須藤さんは「僕が実家に帰れば当たり前のように小さい頃の写真があるが、この子たちにはない。僕が思う以上に写真の力は大きいと感じた」とし、写真による慈善事業「Power of Smaile(パワー・オブ・スマイル=笑顔の力)」を立ち上げた。今年4月にも同市の貧困地区6カ所を周り、写真を子供たちに直接手渡した。

 今月1日、仙台市の通信制高校で講演し、高校生が写真とともに贈るミサンガ(腕飾り)を作った。沖縄の大学でも講演と写真の展示を予定。現在、渡航費や現地で使うフィルム代を提供してくれる資金パートナーを探している。

 須藤さんは「あのまま勤めていたらお金には困らなかったかもしれないが、今の方が数百倍楽しい」と話す。写真展を通じて「『貧しいけど幸せ』と答えてくれた人々が住む途上国のイメージを変えたい」という。

 問い合わせは須藤さん(Eメールbrook1851@gmail.com、電話080・8296・4975)へ。(酒井花)


◆須藤真和さんについて
Cowboy Photographer Kazu-須藤さんのホームページ

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