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「マイクロ水力発電」で実証実験開始 音更町

音更町の水路で稼働を開始した「マイクロ水力発電」の設備。中央の水路内に水車があり、発電された電気は右の管理ボックス内の蓄電池にたまる(30日午前10時15分、金野和彦撮影)

 【音更】町は、町内公園の水路を活用して発電出力が数十ワット規模の「マイクロ水力発電」の実証試験に乗り出した。十勝管内ではこれまでに数百キロワット規模の小水力発電はあるが、マイクロ水力発電は初めて。得られるエネルギー総量は小さいが、流量が安定しているため、発電効率は高いという。町は10月まで実証試験を続けて実際の発電量やコストなどを調べ、導入の可能性を検討する。将来的には防災時の電力供給や、住民向けの環境学習などに役立てていく方針。

 町は30日までに、町木野西通13のむつみアメニティパーク内水路(幅約1・5メートル、深さ60センチ)でマイクロ水力発電の設備と蓄電池などを設置し、稼働させた。水路の一部をせき止めて水を発電機(幅32センチ、奥行き52センチ、高さ60センチ)へ流し、中の水車を回して発電する。同日午前は15ワット前後の発電があった。最大30ワット程度の発電を目指す。

 町は昨年度、町内4河川(ペンケチン川、瓜幕川、伊忽保川、鈴蘭川)で最大数十キロワット規模の小水力発電の実現可能性を検討するため、流量や落差を確認する基礎調査を実施した。

 今年度も小水力発電の可能性調査を継続する一方、「未利用の再生可能エネルギーを探るため」(環境生活課)としてマイクロ水力発電の調査も併行して行うことに。小水力、マイクロ水力を合わせて今年度予算に385万円(道の補助金を含む)を計上した。

 30ワットの出力は、家庭用蛍光灯2本分程度だが、公園水路では流量が安定している。このため、悪天候時や夜間に発電できない太陽光発電に比べると、同規模の発電出力で換算した場合、年間に得られる総電力量はマイクロ水力の方が1・7倍ほど大きくなるという。

 ただ、機器の導入、設置工事の他、維持にもコストが掛かるため、今回の試験ではコスト面で折り合いがつくかどうかも検証。結果によって町民の理解が得られれば、町は来年度以降、本格的な導入を目指す。

 発電施設は蓄電池も備えていることから、仮に導入されると、災害用電力供給拠点としてLEDパイプライト(20ワット)5台を36時間点灯させるとともに携帯電話(10ワット)50台を30分充電させることが可能になる。また、公園水路という町民に身近な場所のため環境学習にも役立てる構想だ。

 町環境生活課の吉田浩人課長は「二酸化炭素の排出抑制にもつなげ、再生可能エネルギーに対する町民の理解が深まるよう、しっかり検討を進めたい」と話している。(井上朋一)


◆マイクロ水力発電について
小水力発電とは-全国小水力利用推進協議会

◆音更町について
北海道音更町-公式ホームページ

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