とかち特報部「冬の翼守る 帯広空港の除雪作業に密着」
羽田空港(東京)と十勝を結ぶ航空機が毎日7往復する、十勝の空の玄関「とかち帯広空港」。北国の空港にとって、冬の安全運航の敵となるのが雪だ。滑走路や航空機の翼に降り積もった雪を定時の出発に遅れないよう、いかに素早く処理するか。空港で作業員が働く姿を追いながら、除雪の風景をカメラで捉えた。(文・深津慶太、写真・塩原真)
5日午後6時半すぎに到着したエア・ドゥの67便。着陸直後から細かな雪がちらついてきた。B737-700に、まず機体の氷雪を取り除く「除氷剤」、さらに、翼が凍り付くのを防ぐ「防氷剤」という2種類の液体散布が始まった。
飛行機の翼に氷が着いたままでは離陸時に揚力が低下する。まさに飛行機の敵だ。同7時すぎに離陸するまでの数十分間、防氷剤で翼が凍り付くのを抑える。
散布で威力を発揮するのが「ディアイサ-」と呼ばれる高所作業車。トラックにゴンドラが付いた形の作業車には、トラックの運転手とゴンドラで散布する作業員がそれぞれ乗り込む。
万が一、翼に接触してしまえば定時出発はできない。地上業務を請け負う道北航空サービスの後藤孝明さん(31)は「地上業務では難易度がとても高い仕事です」。
離着陸で滑走路に接する航空機のタイヤにとっては、滑走路上の雪や氷も危険な存在だ。「タイヤは夏タイヤのようなもの。冬でも夏の状態を保たなければならない」(市空港事務所)という。
夜間に大雪が降れば、夜明け前から除雪作業に取りかかる。空港の供用開始時間である午前8時に間に合わせるためだ。
除雪後には積雪や雪質、滑走路の滑りやすさを点検。点検結果は着陸時の判断材料としてパイロットに伝えられる。