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コムニの料理長金賀さん、古里福島で再出発 復興支援へ

十勝産の西洋カボチャやジャガイモを前に、十勝の思い出と福島復興への思いを語る金賀さん(塩原真撮影)

 帯広市内の商業施設「とかちむら」にあるフランス料理店「ビストロコムニ」の料理長金賀剛彦さん(36)は、東日本大震災からの復興に向け、故郷の福島県に戻って働くことを決めた。地場産食材の料理で全国的人気のレストラン「アル・ケッチァーノ」(山形県)を経営する奥田政行シェフがプロデュースし、福島県いわき市に出店予定のレストランで料理長になる。「復興支援を手伝いたい」と3月末で退職し、4月に十勝を後にする。

 金賀さんは福島市で生まれ、高校時代まで同地で過ごした。東京農業大を卒業後、食品メーカーに勤務。料理人に憧れ、2003年に都内のフランス料理店に転職した。幕別町でオーベルジュコムニを経営するハニージャポン(幕別)の都内の系列店に勤務していた縁で、07年春、幕別での料理長生活が始まった。当初は全国各地の有名食材を取り寄せてメニューを構成したが、「地方で出す料理には地元の物が喜ばれる」と気付き、十勝の生産者を回って食材探しをした。

 「こんなにうまいホウレンソウがあるのか」。十勝の生産者の野菜を料理して衝撃を受けた。朝取りのアスパラガスなど十勝産の魅力を次々と実感。「味に力があるので、シンプルな調理法と食材の組み合わせ方で、感動するおいしさになる」と力説する。

 ハニージャポンが10年8月、とかちむらに出店。同所で行われる生産者と消費者の交流イベントに積極的に参加した。今では生産者50人以上とすぐに連絡が取れる間柄。生産者から食材が持ち込まれるほどだ。

 十勝になじんだ頃、東日本大震災が発生。金賀さんは「福島は原発問題で状況が複雑だ。風評被害もある。福島の人を元気にするため、地元の物で安全・安心な食材を使い、観光資源になるレストランをつくりたい」と思い始めた。

 昨年9月、上士幌町での催しで、被災地の支援活動に取り組む奥田さんと出会った。奥田さんがいわき市で事業を計画し、地場産にこだわる料理長を探していたという偶然の一致。「奥田さんに誘われてうれしいと同時に、福島出身の自分が何もやっていなかった。責任感が沸いてきた」

 復興に料理人として関わる機会が訪れたのは、十勝で経験を積み、地場産を第一にする料理スタイルを確立させたからだ。いわき市のレストランは来年4月に開業予定。それまでは奥田さんの系列店(東京)で働きながら、福島の店づくりから関わる。「これからも十勝とのつながりを大事にし、レストランに軸足を置きつつ、いろいろな復興活動をしたい」と意欲を燃やす。(関坂典生)

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  • 十勝産の西洋カボチャやカラフルなジャガイモを前に十勝の思い出と福島復興への思いを語る金賀さん(塩原真撮影)

    十勝産の西洋カボチャやカラフルなジャガイモを前に十勝の思い出と福島復興への思いを語る金賀さん(塩原真撮影)

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