十勝の良さ伝えたい 「KACHI BUS」キャストインタビュー
「優しい気持ちになれるミュージカル」「「十勝の良さを伝える舞台に」-。バス会社立て直しに奮闘する人間ドラマを追ったミュージカル「KACHI BUS(カチバス)」に出演するバス会社社長役の森崎博之さん、社長夫人役の川村ゆきえさん、部長役の近江谷太朗さんは、十勝毎日新聞社のインタビューに、役作りへの思いを熱っぽく語った。(聞き手・若林聖子、犬飼裕一=以上札幌支社、岩城由彦=東京支社)
野村社長役・森崎博之さん
注目の会社が舞台 完成楽しみにして
-ミュージカル主演の打診を受けた際の気持ちは。
主演と聞いて「うれしいな」と思い、知っている十勝バスの話なので「実話だね」と。ただ、僕は「平成のジャイアン」と呼ばれるほど歌が苦手。ミュージカルと聞いて悩んでいたら「歌わなくてもいい」と言われたので断れなくなりました。ただ、やるからには苦手の歌にも取り組もうと考えています。
-モデルとなる野村社長にも実際に会い、話も聞いたそうですね。
歴史上の偉人や亡くなった英雄を題材にしたミュージカルは多いのですが、今回は生きている人の話。野村社長は男がほれるような男で、どんな逆境でも跳ね返せる頼もしさを感じました。下手な者にはできない。真剣に取り組みたいです。ちなみに野村社長も歌が苦手だと教えてくれました。そこは忠実に再現できそうですね。
-道内ゆかりの俳優がそろったキャストについて。
僕らはどこに行っても北海道を背負って仕事をしている気持ちがあり、ふるさとに誇りを持っています。そういう人たちが集まるので、すごくまとまれる気持ちになります。一緒にいる時間を宝物に変えていきたいです。
-本番への決意や十勝のファンにメッセージを。
十勝は農業番組でもよく訪れますが、十勝に行くと「北海道っていいよね」とつい言ってしまうほどの北海道らしい良さがあります。十勝で(最終公演後の)祝杯を上げられるのは楽しみです。日本中が注目する会社のことを演じさせてもらうので、多くの人に「こんなに十勝がいいところなんだ」と思ってもらえる舞台にしたいです。完成を楽しみにして、見に来てもらえればと思います。
もりさき・ひろゆき 1971年、上川管内東川町出身。北海学園大卒。1996年に同大演劇研究会出身の俳優・大泉洋、安田顕らと演劇ユニット「TEAM NACS」を旗揚げし、リーダーを務める。食育番組「森崎博之のあぐり王国北海道」(HBC)などで食の大切さを発信する活動も積極的に行っている。
OCTV(帯広シティーケーブル)は、森崎さんのインタビューを6日午後3時からの情報番組「まいチャンネル」で放送する。
社長の妻役・川村ゆきえさん
新たなチャレンジにワクワク
-自身初のミュージカルですね。
歌だけでも四苦八苦していますが、そこに動きが付きます。すごく新鮮です。難しさもありますが、その分やりがいも。1つ1つのパズルのピースが全部つながったときの感覚は、また違うんだろうなと思います。新たな分野に参加できるのはとてもうれしいですね。
-十勝のイメージは。
とても広そう。帯広公演では名物の豚丼を食べたいですね。帯広育ちの近江谷(太朗)さんに「おいしい鶏の空揚げのチェーン店がある」と教えてもらい、盛り上がっています。小樽と焼尻島に祖父母が住んでいますが、仕事でも冬の北海道に行く機会は少ないので、帯広公演を楽しみにしています。
-社長を支える妻を演じる舞台の見どころを。
人間が徐々に成長し、輝く姿が描かれています。働いている皆さんが、自分のことに置き換えて見られる部分もあるのでは。東京から嫁いだ奥さんの役ですが、北海道の大地に咲くヒマワリのように明るいイメージです。真っすぐな夫をそっと支える存在ですね。
-十勝へのメッセージを。
「KACHI BUS」は見終わった後とても元気が出て、周りの人に優しい気持ちになれるミュージカルです。新年早々、新たなことにチャレンジできるので、今からワクワクです。皆さんの印象に残るように演じたいと思っています。ぜひ見に来てください。
かわむら・ゆきえ 1986年、小樽市生まれ。神奈川県横浜市と千葉県我孫子市で育つ。2003年に芸能界デビューし、雑誌のグラビアや写真集、DVDなどに出演。07年のNHK連続テレビ小説「どんど晴れ」で連続ドラマに初挑戦、ドラマやバラエティー番組、CM、映画、舞台など活動の場を広げている。
部長役・近江谷太朗さん
やり続けている姿見て感じて
-故郷・帯広が舞台の作品です。
舞台出身なので、普段は出演依頼には慎重に対応しますが、今回は十勝バスの話というだけで、他に誰が出るのか、どんな内容なのかも分からないまま即決しました(笑)。結果的に台本は面白く、曲もキャストも素晴らしかった。「これに出なくてどうする」と思いましたね。
-十勝バスの思い出は。
家業はタイヤ販売店「ダイヤ商会」(帯広市西23北1)で、すぐ近くの十勝バスは大事なお得意さまでした。社長だった父(良克さん)が亡くなった後、一人息子の自分が一時的にでも継がなければと思い、名刺を作り十勝バスにもあいさつに行きました。
中学3年のとき、初めてナンパしたのも十勝バスの車内。「50円貸してくれませんか」と話し掛け、見事に年上の看護師さんと仲良く。十勝バスには、そんなすてきな思い出もあります(笑)。
-作品の見どころを。
ちょっと堅物な古株の部長を演じますが、個性的な出演者がそれぞれハマリ役の感じで、とても楽しく見てもらえます。劇中曲もすてきで、稽古中に聴きほれています。道内出身者がそろったので、北海道弁も“あずましく”聞いてもらえると思います。
-十勝へのメッセージを。
今まで地元に何の貢献もできていないので、この舞台を通して十勝に少しでも注目が集まるよう頑張りたい。帯広で舞台に立つのは初めて。それほど立派な“錦”は飾れませんが、ずっと頑張ってやり続けている姿を見て、何かを感じてもらえたらと思います。
おうみや・たろう 1965年、室蘭市生まれ。幼少時に帯広に移り、帯広四中、帯広三条高、東北学院大文学部卒。劇団SET研究所を経て、演劇集団キャラメルボックスの主力メンバーとして13年間所属。代表作にドラマ「特命係長 只野仁」「逆転報道の女」、舞台「容疑者Xの献身」など。NHKBSプレミアムドラマ「花咲くあした」(5日スタート)、フジテレビ系ドラマ「不等辺三角形」(17日)、舞台「一郎ちゃんがいく」(22日から、東京・青山円形劇場)に出演予定。
バスガイドの制服姿でPR 川村ゆきえさん
東京都内の代々木公園で昨年10月5日に開かれた「バスフェスタ2013in Tokyo」(日本バス協会主催)では、川村ゆきえさんらが「KACHI BUS」をPR。十勝バスの野村文吾社長も見守っる中、川村さんは同社のバスガイドの制服姿でステージに登場、会場に詰め掛けたファンを沸かせた。
同フェスタは「バスの日」(毎年9月20日)にちなんで開催。川村さんはミュージカルの原作本「黄色いバスの奇跡 十勝バスの再生物語」(総合法令出版)の著者で、舞台の企画・制作にも携わる吉田理宏さん(東京、WAYOUTカンパニー社長)とミニトークを披露し、「北海道・十勝」もPR。ファンとのじゃんけん大会も楽しんだ。川村さんは「初めてのミュージカルが楽しみ」などと語り、舞台鑑賞を呼び掛けた。